餃子会

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いやーこれすごく良い記事で、とにかく餃子食べたい、餃子会やりたい…となるのでやばいです。俺も虎視眈々と餃子会の開催を狙っていて、ようやく実現の運びとなりました。

 

しかしこの記事では事前準備をわりとサラっと書いてますけど、実際にやってみると意外と大変だと思いました。

 

まず、予算管理です。我々の餃子会では7人集まりました。一人1500円で予算は10500円です。この時点でウニへの確かな手ごたえがありました。記事だと100gちょいで3300円となっております。一番値段が高い食材を買ってから予算の分配をどうしようか考えることにしました。

 

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朝の築地にやってきました。

 

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ウニです。大きさによって値段がちがうのだと推測されます。でも餃子にするのだから小さい安いやつでいいのです。2000円のを指さし「これ、何グラムありますか?」と尋ねたら「それはだいたい170~180gなんだよ。1800円でいいよ」こっちが何も言ってないのに一声で値下げしてくれました。グラム数聞くと玄人っぽく見えるのでしょうか。

 

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小柱一皿350円。おいしそう。エビいかすみ餃子、エビの代わりにこれを使ったらどうか…と思い購入。となりの小肌の開きもうまそうですが際限なくなるので断念しました。築地は恐ろしい所です。

 

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三陸の殻付き岩ガキが1個150円で売られてたので買いました。これは餃子関係なく生で食べたいと思います。店で食べるのより自宅で食べた方が断然安上がりになる食材の一つなので俺は築地いくたびにカキを買ってます。殻を開けるのに慣れてないと剥くだけでも大変ですが…

 

ここまでの支出は

 

ウニ 1944円

小柱 378円

岩ガキ14個 2268円

 

合計4590円、残りは約6000円です。

 

基本の餃子のタネとなるひき肉、これはどれぐらい用意すればいいのだろうか。1人前のハンバーグがだいたい150gなので、7人だとざっくり1kgぐらいの肉が必要だな、と考えました。

 

ハナマサに行き700g超の合い挽き肉(100g88円)と500g超の豚バラ肉(100g108円)を買いました。他にも必要な食材を買っていたら予算6000円を越えちゃいました。しかし買った食材を全部使うわけではなく、この食材は1/2しか使わないから金額も半分で計上だ、調味料なんて1/10も使わないから金額も1/10にして…と再計算した結果、なんとか予算内に納まりました。チャレンジ一発で予算達成です。

 

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1.2kg分の餃子のタネです。豚バラ500gをフードプロセッサーにかけ、700gのひき肉とあわせてこねました。

 

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燻製カキ餃子とイノシシたけのこ餃子以外のぶち猫さんレシピは全部再現するつもりでいましたが、手羽先の骨抜き作業がめっちゃ大変で2本抜いただけでかなりの労力で、この時点で餃子会開始時間は過ぎていたので、こりゃ無理だと諦め、手羽先のみで普通にオーブンで焼くことにしました…。ホームパーティーの極意は「段どり」、マジでその通りです…パーティピープルへの道はまだ遠い…

 

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キャンプ用にとかったスノーピークの折り畳み机で作業スペースを確保しました。スノーピークのキャンプ用品は堅牢で、家で普段使いするにも優れていると思います。ちなみに粉から餃子の皮をつくる器具がないので皮は買いました。

 

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順番に焼いて行きます。

 

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美味い!!!!

 

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こちらサモサ餃子です。そもそも論としてサモサというものを食べたことが無く、しかもレンズ豆がなかったのでジャガイモ2倍で代用、カレー粉も無かったのでガラムマサラターメリックで代用しました。代用ばかりでもはやサモサの原形をとどめておりませんが、美味しかったです…俺の中でのサモサとはこの味だ!

 

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ライフで買ったラム肉100gをフードプロセッサーにかけクレソンとトマトをあわせました。

 

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ラム肉クレソントマト餃子は水餃子にします。これも美味かった…!

 

ぶち猫さんの記事にはない餃子も作りました。好評だったのはチーズにヤングコーンを入れた餃子です。

 

-餃子のタネ 100g

-とろけるチーズ 70gぐらい

-ヤングコーン 4本

 

ヤングコーンは薄くスライスしてタネ、チーズと一緒に混ぜるだけです。

 

あとは定番ですがシソ餃子は美味しかったです。餃子のタネにシソのみじん切りをたっぷり入れるだけです。

 

餃子のタレですが、酢にケッパーを入れただけのシンプルなタレも試してみました。さっぱりして美味しかったですのであわせて記しておきます。そもそもギョーザは酢だけでいい、という硬派な勢もいますので酢だけでもいいのかもしれませんが、ケッパーがあると圧倒的にシャレオツ度があがります。インスタ映えしてキラキラしますので、対インスタ決戦兵器としてケッパー酢ダレがおすすめです。そこまで言っておきながらケッパー酢の写真がないのですが、なぜ写真がないのかといいますと、酔っぱらっていたからです。

 

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椎名誠の本に載っていた、アイラ島民のカキの食べ方。生ガキにアイラモルトをぶっかけて食べるそうです。椎名誠いわく、食べたらあまりの美味さに繁殖期のトドのような声がでる、とのこと。確かに美味かった!!!オウッオウッオウッオウッwwwwwwww! オウッオウッオウッwwwwwwwパンパンパァアアアン!w(ヒレを叩く音) オウオウオウオウッ!!パンパンパン!オウオウ!!パンパァアアアン!…失礼、取り乱しました。

 

そういえばカティサークのデザイン、最近変わったんですね。ラベルをまじまじと見るとこんな言葉が書いてありました。

 

You can't discover a new ocean until you have the courage to leave the shore. 

 

岸を離れる勇気がないと、新しい海は見つけられない。含蓄深い言葉だ…

 

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エビの代わりに小柱を使った餃子ですが、こちら正直微妙でした。小柱が意外にも主張しすぎて餃子のタネとうまく合わない。イカスミをもっとかければよかったのか、そもそも貝とは合わないから素直にエビを使っておけばよかったのか…

 

しかし失敗も立派な経験なので、カティサークの精神で餃子界のニューオーシャンを求めて頑張ろうと思いました。

 

ちなみに12時から始めた会がお開きになったのは20時だったのですが、酒の飲み過ぎで16時過ぎに寝落ちしてしまい、メインディッシュとして残してあったウニは食べれませんでした。あんだけ苦労して買ったウニが!!朝の6時過ぎに家をでてチャリで小一時間かけて築地に行ったんですけど!!??って、そもそも会を主催したホストが酒で潰れて寝落ちってどういうことだって話ですよね。家飲みウィスキー党の至高の飲み方、それは酒飲んで寝落ちです。聞いてませんか。そうですか。酒を控える勇気がないと、メインディッシュは食べれない…

 

以上です。

 

 

 

 

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阿部和重グランドフィナーレから12年後の秋葉原ヨドバシカメラ

グランド・フィナーレ (講談社文庫)

 

12年ぶりに再読した。表題の作品は芥川賞を受賞した中編小説だが、この本には「新宿ヨドバシカメラ」と題された怪文書のような短編小説も載っており、それがもの凄く面白かった。当時ももちろん面白いと思ったが、再読するまでこの短編の存在をすっかり忘れていた。

 

この小説を要約すると、「先生」と呼ばれる全裸の男性を俯瞰の視点で捉え、彼のペニスを新宿都庁に見立て、彼のたいこ腹を山手線に見立て、彼の陰毛の中にあるホクロを新宿ヨドバシカメラと見立て、男女が情事に及びながら新宿とヨドバシカメラを語る小説である。何を言ってるのか分からない?だから言ったでしょう、怪文書のような小説だと。面白い小説なので興味があれば各自で読んで欲しい。

 

――先生?

――何だい?

――それで結局のところ、何を仰りたいのです?

――さあね。正直、わたしにもわからんよ。生憎とね!

――こう言ってよろしければ……。

――何だい?

――先生の太鼓腹はひどく雄弁そうに見えて ……。

――それで?

――とても未来を見通せるような代物ではないわ!

――結構! 上出来だ!

 

何を言ってるのか分からなすぎてこのシーンで必ず笑ってしまう…。

 

阿部和重の新宿ヨドバシカメラを読んだ俺は、なんだか秋葉原ヨドバシカメラについて語りたくなった。阿部和重は真俯瞰のカメラワークで新宿とヨドバシカメラをとらえてみせたが、俺は横からの定点カメラでヨドバシAkibaを捉えてみたい。そもそも、今でこそ秋葉原はオタク文化の街であるが、かつては家電の街、電子部品の街であり、さらに古くは青果市であった――というのは誰しもが語るところであるが、ここではヨドバシAkibaに定点を置いてその変遷を捉えていきたい。

 

ヨドバシAkibaの開業は2005年9月。グランド・フィナーレが2005年2月に販売されてから約半年後…ということになる。

 

今でこそヨドバシカメラには大型店舗がたくさんあろうが、2005年当時はそのような大型店は存在しなかったと記憶している。今でこそ横浜ヨドバシカメラは大型店舗のなりをしているが、それ以前は新宿ヨドバシカメラと同じように、横浜西口にあるペンシルビルの集合体であった。その後、横浜の三越が撤退し、その跡地をまんまとせしめたのがヨドバシカメラである。まるで竹中半兵衛がわずか16名の手勢で稲葉山城を奪取したかのような、あざやかな手つきではないか!

 

そのようなあざやかな手つきは、ヨドバシAkibaの建設においてもいかんなく発揮される。当時の秋葉原駅には昭和通り口と電気街口しか出口がなく、つくばエクスプレスの開業に合わせた大規模な再開発事業の果てに中央口が新設されたが、その中央口の目の前の広大な敷地を取得したのがヨドバシカメラである。秋葉原と言えば電気街、電気街といえば石丸電気サトームセンラオックスソフマップといった群雄たちが割拠する中、ノーマークだった昭和通りという不毛の地に巨大な城を築いたヨドバシカメラ。その後の歴史を鑑みると、江戸を切り開いた徳川家康のような剛腕としたたかさがあったと思わざるを得ない。

 

そんなヨドバシカメラも、最初から秋葉原の主として君臨したわけではなかった。徳川家康と同じ苦難を経験しているのである。ヨドバシAkibaをめぐる四つの事件としてここに記したい。

 

開業当時のヨドバシAkibaの売り場の酷さを知っている人はどれだけいるだろうか?一般的な量販店の家電売り場をのぞいてみよう。掃除機は掃除機売り場、洗濯機は洗濯機売り場、クーラーはクーラー売り場にあるのが当然である。ところがヨドバシAkibaは違った。開業当時の家電フロアにあったのは、日立売り場、東芝売り場、パナソニック売り場、SHARP売り場、サンヨー売り場…つまりメーカーごとの売り場がまず先にあったのである。その日立売り場の中に、日立の冷蔵庫、日立の洗濯機、日立の電子レンジ、日立の掃除機…等々が置いてあるわけである。

 

これほど分かりにくい売り場があるだろうか。例えば冷蔵庫を買いに行った人は売り場が違うので各メーカーの冷蔵庫を比較検討できないということになる。

 

なぜこんな酷いことになってしまったのか?おそらく、秋葉原の地に移封されて間もないので優秀な家臣団がいなかったのだろうと推測される。もちろんヨドバシには優秀な家臣団がいたはずであるが、横浜の例で言えば横浜ヨドバシは当時ビックカメラやアリック日進たちと激しい戦いを繰り広げていたのであり、そんな戦線を各地に抱えていたのであり、とてもではないが優秀な家臣を秋葉原に割くことはできない…そう各地のヨドバシ家臣団が考えたとしても不思議ではない。かくしてヨドバシAkibaは最低限の家臣で関東最大の売り場面積を賄わなくてはならなくなってしまった。当然人手が足りないので各メーカーに販売員の応援を要請する。当時のヨドバシAkibaの立場は本当に低かったので、それだけ優秀な家臣団を応援として出すのならわてらの思い通りにやらせてもらいまっせ…と各メーカーが主張して力関係の差でああなってしまったのではないかと推測される。

 

無論と言うか言うまでもなく、そのような売り場は不便このうえなかったので、開業からわずか半年ほどでメーカーごとの売り場ではなくジャンルごとの売り場に改められた。まるで武田の騎馬隊のような怒涛のクレームが消費者からいったのであろう、徳川家康の三方ヶ原の敗北のような、王者ヨドバシの今からでは考えられない圧倒的な惨敗であった。これが一つ目の事件である。

 

二つ目の事件は何かと言えば、5年ぐらい前の話だと記憶しているが、北側に面した出入口が閉鎖されたことである。今現在はヨドバシAkibaの出入り口は3つしかない。JR中央改札方面出入口、JR昭和通口改札方面出入口、つくばエクスプレス方面出入口である。ここにもうひとつ、開業当時はあったのに現在は失われた北側の出入口があったのだ。なぜ失われたのだろうか?

 

これもまた推測の域を出ないが、他の3つの出入り口が駅方面へと接続するのに対し、北側の出入り口は公共交通機関にまるで接続しない出入口である。そこを出れば何もない不毛地帯であるところの昭和通りである、そんな出入口を利用するのは主に地元民…ということになる。つまり雨降りの日などは秋葉原界隈の地元民は昭和通り口の改札を抜けヨドバシAkibaに入り店内を通って北出入口から出るという手法でヨドバシAkibaをアーケード代わりに使っていたのである。ヨドバシAkibaはこのような地元民を出入口封鎖という実力で排除しにかかったわけである。

 

このような対応からも分かるように、この頃にもなると秋葉原でもヨドバシAkibaの一強体制が構築されていた。石丸電気が、サトームセンが、ラオックスが、ソフマップが、電気街において消耗戦をしている間に、争いをまったくしなかった昭和通りヨドバシAkibaの一人勝ちとなったのである。まるで朝鮮出兵勢力を削がれた加藤清正黒田長政らを尻目に、日ノ本での留守居役を仰せつかって一人で兵力を温存できた徳川家康のように…。かくして石丸電気エディオンに吸収され、サトームセンヤマダ電機に吸収され、ラオックスは中華資本の傘下となり、ソフマップビックカメラの傘下となったわけである。

 

そのようにしてライバルたちが滅びゆくなか、一強として昭和通に君臨するヨドバシAkibaが売り上げに1ミリも貢献しない地元民の排除にかかったとしてもなんら不思議ではない。うちで買い物したければ駅の方からどうぞ、てなもんである。

 

三つ目の事件としては、およそ1年ぐらい前の話と記憶しているが、7階の専門店フロアの大幅な配置換えである。まるで関ヶ原の後の論功行賞のような、大幅な改易ぶりであった。まずやり玉に挙がったのは7F半分以上の売り場面積を誇り、ヨドバシAkibaを開業当初から支える譜代大名であるところの有隣堂である。いくら譜代とはいえ集客に貢献しなかったら許しまへんで、という強い意思のもと、売り場面積が当初の半分程度になるという大幅な減封を喰らった。

 

とはいえ、有隣堂はまだいい。一番悲惨なのはタワーレコードである。7Fタワーレコードのすぐ下のフロアであるヨドバシ6FでもCD・DVDを売っており、同じ値段ならヨドバシで買った方がポイントつくのでお得、という強烈なハンデの中で頑張って営業しているわけである。いくら譜代とはいえ集客に貢献しなかったら許しまへんで、という強いプレッシャーの元で、強力なライバルであるヨドバシを相手に、江戸時代の百姓は生かさず殺さずの精神で今日もヨドバシアキバで営業している。

 

そんな秋葉原最強を誇るヨドバシAkibaであるが、つい最近、衝撃的なものを目にした。おむつをはじめかなりのベビー用品を取り扱うようになったのである。娘が小さい頃は錦糸町アカチャンホンポやベビザラスに行くぐらいしか選択肢がなく、そのベビザラスも錦糸町から撤退してしまったので選択肢が狭まるなあ、と思っていたが、なんのことはない秋葉原のヨドバシでベビー用品を取り扱うようになったのである。ヨドバシでポイントが貯まるおむつである。いや、ベビー用品だけじゃない。化粧品・浴衣・甚平・掛け軸・飾り皿・漢字付きベースボールキャップ・徳利セット・招 き猫・博多人形こけし・提灯・はちまき・キーホルダー・変圧器・コンセントプラグ・郷土玩具・千代紙・だるま・扇子・刀…。そう、外国人観光客相手の土産物屋になっていたのだった。外国人観光客相手の商売といえば中華資本傘下のラオックスが猛スピードで業績を回復しており、一強と思われたヨドバシAkibaの方針を変えられるほどに戦局はあらたなステージに突入しているのだ…と思わずにはいられなかった。これが四つ目の事件である。

 

いくら強大を誇った徳川幕府と言えども、わずか300年足らずで崩壊してしまうのである。ヤマダ電機の参入に加えビックカメラ秋葉原に居を構える乱世の時代、このままヨドバシAkibaの一強が続くのかどうか。

 

12年経った俺の腹は立派な太鼓腹になってしまった。もちろん俺の腹はひどく雄弁そうに見えるが、とても未来を見通せるような代物ではない。

家飲みウィスキー党の至高の飲み方は「ファイナルアップ」、もはやこれは常識

今週のお題「家飲み」

 

はてなブログにはお題ボタンというものがあり、一週間ごとに記事のお題が設定してある。別に書いても書かなくても良いのだが、これは俺の得意分野なので書く。

  

俺は家で普段ウィスキーを飲み、奥さんは家で普段ビールを飲む。

 

皆に聞きたいのだけど、エヴァンゲリオンミサトさんの家の冷蔵庫を思い出してほしい。ビールでいっぱいである。あれを見て何を思うだろうか。酒好きなんだろうなあ、って、そういう感想だろうか。いや、もちろん酒好きなのだろうが、同時に俺はミサトさんの意思の強さを感じずにはいられない。だらしないようにみえて、さすがは職業軍人である、と思わずにはいられない。なぜなら、もし我が家の冷蔵庫があのような状態になっていれば、我々は冷蔵庫にあればあるだけ酒を飲んでしまうからである。

 

冷蔵庫に500mlロング缶が2本あれば、翌日には無くなっている。ロング缶が4本あれば、翌日には無くなっている。ロング缶が6本あれば、翌日には3本になっている。なぜ3本なのかといえば、翌日また3本飲めるなという思案が働くからである。これがもし4本だとしたら、今夜3本飲んだら明日は1本しかない、どうしよう、ええい4本全部飲んでまえ、となる。これをふまえて、もしうちの冷蔵庫がミサトさんの家の冷蔵庫状態だったらどうなるか考えて欲しい。あれだけ在庫があれば明日の酒の心配はない、となれば…飲む…!飲んでしまう…!ありったけのビール…!あればあるだけ…飲む…!限度まで…!

 

なので、我々はこと酒に関しては意思が弱いので、安いからとビールを箱買いしてしまったらあればあるだけ飲んでしまい結局は高くついてしまうので、酒に関しては基本的に冷蔵庫によぶんな在庫はもたず、常に500ml2本を揃えておく、無くなったら2本補充する、という方式に落ち着いた。

 

もしこれが350ml2本だとしたら、飲み足りない奥さんが絶対に「足りない。コンビニで買ってきて」と言い出すのに決まっているのである。我々が試行錯誤の末にたどり着いた家飲み損益分岐点、それが500mlロング缶2本なのである。

 

ことビールに関して言えば我々はかなり緻密な在庫管理をしていることがお分かりいただけただろうか。トヨタカンバン方式、ジャストインタイムの思想が我が家の冷蔵庫においても導入されているわけである。

 

それに比べたら、ウィスキーは楽だ。700ml瓶1本買えば、1週間は持つ。1週間で必ず1日は休肝日を設けているので、700ml÷6日間=1日の酒量約120ml、ダブルで2杯分。十分な酒量である。もちろんあればあるだけ飲んでしまうこともできるが、1週間のうちウィスキーを買っていいのは金曜日の夜だけ、というマイルールを課すことで、1週間単位の大局観を持って1日の酒量を調整しているのである。

 

俺が最近好きなウィスキーはブラックニッカリッチブレンドだ。

 

いいちこが下町のナポレオンなら、ブラックニッカリッチブレンドは下町のアレキサンダー大王といっても過言ではない。

 

え?

 

下町のナポレオンのナポレオンは人名じゃなく酒の名前だ、って?

 

そんなことは分かり切ってる!!分かり切ってるが、ここで下手な酒の名前を出すと戦争が始まるのである。

 

仮に、仮の話だが、じゃあここで仮にブラックニッカリッチブレンドは下町のボウモアである、と断言したとしよう。何が起こるか。決まっている。うるさいウィスキー党が絶対に戦をしかけてくるのである。「ボウモアとブラックニッカ、方向性が全然違うだろwむしろシーバスリーガルの〇〇年の…」「むしろ下町のアイラモルトといえばカティ―サークで…」「お前ら安いカティーサークしか飲んだことないのかよw カティーサーク33年は…」

 

うるせーーーーーー散れーーーーーーー!!!!!!

 

ああ、なんて面倒くさいの?もうだめだよ、ウィスキー党なんて面倒くさい人しかいないんだよ!株式会社はてな、なんて面倒なお題を出してしまったの?だから酒の話なんてしたくないんだよ俺は!!

 

もうね、君らがウィスキーに詳しいの分かった。よーく分かった。あなた達に対してマウント取る気はさらさらないから。だいたい、ウィスキー党はうるさいんですよ。ワイン党の次に面倒くさい。ワラの匂い?知らねーよ、ワラでも食ってろという感じである。ああ面倒くさい。俺の感じる面倒くささの概念図は以下の通りである。

 

ワイン党>>>>>越えられない壁>>>>>ウィスキー党=日本酒党>>>ビール党>>>>>>>越えられない壁>>>>>>>>焼酎党

 

このレベルの面倒くさい人たちの前で、迂闊に「下町の〇〇」とかって言える?言えないでしょ?だからいいんだよ、下町のアレクサンダー大王で。

 

話を戻そう。ブラックニッカリッチブレンドがいかにコスパの良い美味いウィスキーであるかという話である。

 

俺の感覚だと、1mlあたり2円以上するウィスキーが高級酒である。700mlで1400円以上。この金銭感覚だと、サントリー角ですら高級酒である。なので普段はよくブラックニッカクリアを飲んでた。1ml1円クラスのウィスキーだ。

 

ブラックニッカ クリア 瓶 700ml

 

しかし去年、数量限定でブラックニッカブレンダースピリットというウィスキーが発売された。俺が気づいた時にはすでにプレミアついて1本5000円とかになっていた。定価3000円くらいの酒に5000円。1ml7円。買えるはずがない。買えるはずがないが、俺もブレンダーさんのスピリットを感じたい…

 

ブラックニッカ ブレンダーズ スピリット 瓶 700ml

 

そう思ってた時に酒屋で出会ったのがブラックニッカリッチブレンドである。ブレンダーさんがリッチにブレンドしてくれているわけである。ブレンダーさんのスピリットの残り香のようなものを、俺はブラックニッカリッチブレンドに感じているのである。

 

ブラックニッカ リッチブレンド 瓶 700ml

 

実売でだいたい1000円くらい。1ml1.5円のウィスキーだ。普段ブラックニッカクリアを飲んでる俺からしてみれば、同じ安酒でもたった300円の違いでこんなに美味しいんだ、ってなった。味が、香りが、豊かというか…いや、リッチ言うてるやん、ってことなんだろうが…本当にリッチだなあ、って、それしか表現できないんだけど…。え?語彙が貧弱?うるせーワラでも食ってろ。

 

まあね。俺みたいな貧乏舌が、あれが美味いこれが美味いって言わないですよ。知ってますから。あなたの方がお詳しいですから。マウント取る気なんてさらさらないですから。

 

でも、これだけは言わせてほしい。

 

家飲みウィスキーの至高の飲み方、それはファイナルアップであると!!!

 

銘柄についてはマウントを取る気はさらさらないけど、飲み方なら話は別だ。あんたファイナルアップで飲まないの??かーーーー。ウィスキーに対するリスペクトがまるで足りないねあんた。おーっと、ググっても無駄だぜ坊主。なぜなら、ファイナルアップって、俺が勝手に名付けただけだから。この概念、本邦初公開である。この広大なグーグルの大地に、ファイナルアップについて書かれた記事は存在しない。

 

いいだろう、諸君。至高の飲み方、ファイナルアップを紹介しようではないか。

 

ここまで煽っておいてなんだが、ウィスキーの飲み方なんて自由である。好きに飲めばいい。ウィスキー党の中で幅をきかせているのは、トワイスアップ原理主義者である。ウィスキー党の中での少数勢力であるにもかかわらず、声がでかいことで有名だ。曰く、至高の飲み方だと。花開くと。知らんがな。好きに飲めばいいがな。という気になる。

 

しかし、そんな俺でも、家飲みウィスキーの至高の飲み方はファイナルアップであると断言してしまうのである。や、別に好きな飲み方をしてくれて良いんです。良いんですけど、ボトルの中の酒量が30mlぐらいになって、あ、これが最後の一杯だな、ってなったら、みんな迷わずファイナルアップで飲んでほしい。

 

作り方はこうだ。残りの30mlのウィスキーを全てグラスに注ぐ。瓶は空になる。いや、本当に空になったのだろうか?ここで空になったと言える奴は、ブレンダーのスピリットを感じていない。必ず数滴、ウィスキーが残っているはずである。瓶の中は、まだウィスキーの香気で満たされているはずである。そこに水を入れる。分量は自由だ。トワイスアップなら30mlの水でよいし、これより多くても少なくても良い。自由だ。そして栓をする。そしてシャカシャカふる。思いっきり振る。栓を開ける。振った水をグラスにそそぐ。以上である。

 

ウィスキーは究極のカクテルだ、という言葉がある。ご存知の通り、ウィスキーは通常いろいろな樽からブレンドしているからである。カクテルレシピっぽく言えば、瓶をシェーカー代わりにして水30mlをシェイクし、ウィスキー30mlにビルドアップして飲む、ということになる。シェイクしたら水に空気が含まれる、シェイクの仕方で風味は変わる。

 

瓶に残った数滴のウィスキーまで余さず飲む、これがファイナルアップの神髄である。ブレンダーのスピリットを最後の一滴まで感じる。ビンもきれいになり資源ゴミとして循環する。これ以上完璧な飲み方が他にあるだろうか。

 

あんた、さっきは偉そうにご高説を垂れてたけど、ファイナルアップ知らんかったんだってなあ?ん?今まであんたが捨てた瓶に残ったウィスキー、どんだけの量あるんだろうな。全部集めたら700mlくらいになるのかな。ブレンダーさんがそれつくるのにどれだけの年数と手間暇かけてるのか知らないはずないだろ、ええ??

 

キマった。完全にマウンティングが決まった。ウィスキーに今まで費やした金と時間と情熱はあんたの方が上だろう。しかし、こと家飲みの飲み方に関して言えば俺の方が上だった。いや、いいんだ。俺もあんたもただのウィスキー好きでただの酒好きだ。それでいいじゃないか。

 

 

 

俺も奥さんも酒が好きだ。そもそも奥さんが酒好きであり、週末のデートと言えば奥さんの職場があった池袋の立ち飲み屋か、俺の職場のある浅草橋の立ち飲み屋か、と、そういう感じであった。俺はもともと酒を飲む方ではなかったのだが、奥さんと付き合ってるうちに調教されてしまい、現在では俺の方が飲むようになってしまった。そんな次第である。

 

週末居酒屋めぐりが好きだった我々も、奥さんが妊娠してからはそれが出来なくなってしまい、出産したら出産したで娘が粉ミルクを飲むのを拒否するようになり母乳しか飲まず、奥さんの断酒はなおも続いた。俺は酒が大好きな奥さんの前で酒を飲む気にもなれず、俺も断酒した。

 

娘が乳離れしたのは忘れもしない娘が1歳8か月の正月だった。終わった。妊娠期間からかぞえて2年以上に渡る長い断酒期間が終わった。それはまさに戦いであった。いや、奥さんが一番戦ってたのはもちろんだが、俺は俺で戦ってたのだ。その長きにわたる戦いが終わった。

 

断酒期間があけて最初に家で飲んだ缶ビールの美味さったらなかった。最高だった。まるでナチスドイツからパリを奪還したパルチザンたちが飲んだ祝杯のような開放感…と言ったら言い過ぎなのだろうが、いやでもこれ比喩でもなんでもなくて長きにわたる戦いから解放された日の祝杯なのだった。

 

そんなわけで、今は家飲みがメインである。付き合いで行く以外には居酒屋にもいかなくなってしまった、もちろん居酒屋は大好きなのだけど、あの断酒期間のつらさを考えたら家飲みできるだけで十分幸せなのである。

 

 

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