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新幹線ビールコード問題

娘は働くクルマや電車が好きで、街で見かけたら「あっ、バスだ!」「ごみしゅうしゅうしゃが、とまってるよ!」「みずいろでんしゃだよ!(京浜東北線の意」などとリアクションがいちいちかわいいのだけど、上野を発着する白い特急ひたちを見かけるたびに「しんかんせん!しんかんせんだよ!」と大はしゃぎをする娘をみるとさすがにかわいいという感情よりも不憫だという感情が先に立ち、いつか一緒に本物の新幹線に乗ろうね…などと思ったものだった。

 

とはいえ娘も長旅をするほどの体力はないので、「新幹線で東京から新横浜に行って崎陽軒の工場見学をするのはどうか?」「小田原まで行ってかまぼこづくりを体験するのはどうか?」という近場で新幹線を無理くり利用する旅程を思案しながら実現には至らないまま半年以上経ってしまったんだけど、GWはどこいこう、親戚のいる静岡に行こう、静岡ならレンタカーでドライブだね、という話の中で、「新幹線で三島まで行って三島でレンタカーを借りれば念願の新幹線も乗れるし東名の渋滞からも解放されるしで一石二鳥なのでは?」となり今回新幹線を利用しての旅程となったわけで、でまあ娘にも「明日新幹線に乗るからね、しんかんせん!」ってさんざん煽ったので娘も楽しみにしているんだろうが、なにより俺が一番楽しみにしていてワクワクしてるので、今日新幹線に乗るわけなのだけど、朝の8時に家を出れば十分なのにもう4時に目が覚めてしまい、普段なら朝食を作りながらまったり過ごすのだが、新幹線で娘と弁当を食べる約束をしたので朝食すらままならず、やることもないのでこうして早朝からはてなに書いている次第である。

 

最近ようやくこうやって自分の思ったことを文章に残せるようになったので、これからは本当に些細なことでもはてなに書いた方がいいな、娘の成長はタケノコ並みだし、その時その時でどう思ったかというのは書き記さないと消え失せてしまうし、ツイッターだと過去の検索しづらいし、となっており、最近自分の中ではてな愛がすごく、隙あらば積極的に書いていきたいと思って、それで唐突に思い出したのが新幹線ビールコード問題のことで、この問題も新幹線についてここまでテンションが高まらなければ思い出せずに記憶の底に眠っていたのだけど、せっかく掘り起こしたので書く。

 

瀟洒なパーティーにはドレスコードが存在するように、新幹線の旅にはビールコードが存在する。

 

3年前、10年来の友人が京都で結婚式をやるというので、同じく10年来の友人たちと新幹線で京都に行った。この友人たちとは飲み会はやるものの、結婚式とはいえこうして旅行っぽいことをするのは初めてである。集合は土曜日の朝8時、のぞみの指定席をすでにとってあるのでそれの出発までにホームに集合、とのことだった。さて、どうしよう。なにがどうしよう、ってビールをどうするかに決まっている。俺は、新幹線が出発したら即プシュッと500ml缶ビールのロング缶を開けてしまう人間なのである。もちろん俺も社会にでてそれなりの常識をわきまえているつもりなので、一人旅なら好き勝手やるけれども、皆と一緒の旅行ならば皆の行動規範に沿って行動するつもりである。で、皆はビール、どうするのだろう…。皆30過ぎた社会人なので、ランチでビール飲むことについてとやかく言う人はいないだろう、しかしいかんせん朝の8時というのがネックだ、朝ビールを飲むと言ったらどん引きされるかもしれない。繰り返しになるが、10年来の友人とはいえこうやって旅行をするのは初めてなのだ。彼らと一緒に旅行する際の新幹線のビールコードが分からない。昼ビールは100%大丈夫という手ごたえはある、でも朝ビールは?

 

これがネットで「朝からビール飲むのはいかがなものか」的な感じで炎上してるのなら話は早いのである。俺ならこうスパっと言ってやる。「朝の8時からビール飲むなっていってる奴らは思い上がりすぎだろ。自分の朝8時と他人の朝8時が同じ感覚だと何も疑わずに言ってる。午前0時に起きて仕事終わりの朝8時にビールを飲む築地の人の前でそれ言えんの?」と。しかしこれはネットではないので、万一ビールコードの選択をミスれば眉をひそめられ終わりである。ビールクズの烙印を押されて終わりなんである。ビールコード問題においては水は低きに流れるので、コードが一人でも低い人間がいればそちらに合わせられる。俺の他にもう一人だ。

 

いろいろ考えた結果、俺は崎陽軒の弁当と一緒にビールのロング缶を買い、しかしロング缶はリュックに隠し持ち、皆の様子をうかがうことにした。そしてビールコード問題について話し合い、そして皆の反応を見ながら「いや実はね…」とスッとリュックから缶ビールを差し出す作戦で行こうと思った。

 

結論から言えば、ビールを買ってきた人は俺の他にもう1名いた。助かった。「当たり前でしょ!」とその人は力強く断言した。いや、その当たり前もね、なかなか分からないものなんだよ、10年付き合っても知らないことは山ほどある、と思った。

 

新幹線の車内では新幹線ビールコード問題の他に、「東京駅で買った崎陽軒のシュウマイ弁当は新横浜であけるべきか」問題についても議論が交わされた。結婚式はつつがなく無事に終了した。