「おすしのずかん」で特訓した3歳の娘が回転寿司のカウンターで一人オーダーデビューした話

唐突ですが聞いてください。3歳ぐらいのお子さんをお持ちの方におすすめの絵本があるんです。大森裕子さんの「おすしのずかん」。これ万人におすすめできるので僕はことあるごとに言ってます、本当にいい本なんです。

 

おすしのずかん (コドモエのえほん)

 

 まず楽しいのが、お寿司屋さんのメニューのようにいろいろなお寿司がのっており、「ごちゅうもんは、なににしますか?」と親が子どもに問いかける地の文章になっているところです。つまり、この絵本を朗読するということは、子どもとおすしやさんごっこをするということなのです。

 

俺「いらっしゃいませ、ごちゅうもんは、なににしますか?」

娘「えっとねー…(メニューを指さし)これください!」

俺「マグロの中トロですね。しょうしょうおまちくださーい」

 

もうこの時点で楽しい。娘とお寿司屋さんごっこ、楽しい。絵本を子どもに読み聞かせるのが苦痛、なぜならあらすじが分かってる話を繰り返し繰り返し朗読せねばならないから、という声をよく聞きますが、おすしのずかんは読むたびに新しい展開が待っていますので楽しいです。展開はまさに無限です。期間限定のマックの裏メニュー、すべての組み合わせを数えると583種類あるそうですが、おすしのずかんはそれどころではありません。

 

もうこの時点で楽しいのですが、次のページをめくってみてください。衝撃の展開が待ち受けています。

 

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な、なんと!「いま、つかまえてきますから…。そう!おすしはおさかなからできているんです」そうだったのか!衝撃の展開です。この寿司屋は注文を受けてから魚を釣りに行くのです。娘はマグロの中トロを頼んだわけですが、この寿司屋のシステムのおかげで娘ちゃんが頼んだお魚はこれなんだよ、と教えらます。これは便利です。お寿司でマグロは知っていてもマグロの姿は分からないのはまだしも、海で魚は切り身の状態で泳いでると信じる子どもがいる…みたいな都市伝説のような話を生んでしまわぬよう、子どもの教育が遊びながらできるのです。

 

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しかもこのおすしのずかんが素晴らしいのは、牛肉巻き、ハンバーグ巻き、照り焼きチキンロール、のような、回転する寿司ネタ文化に対応しているところです。そんなものは寿司ではない、などと主張する人を相手にしているのではありません。子ども連れ層が普段行く回転寿司に目線を合わせているのです。素晴らしいと思いませんか。

 

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来ました、子ども大好きド定番のからあげです。ちゃんと入ってます。生魚が食べられないお子様でも気軽に頼めるからあげ。ちゃんとフォローしてくれるの素晴らしくないですか。

 

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こんだけ素晴らしいおすしのずかんでいつもお寿司屋さんごっこして遊んでいたので、最近は娘の遊び方もこなれてきてお友だち(人形)を連れて寿司屋に来るようになりました。

 

俺「いらっしゃいませ、アンパンマンさん、ごちゅうもんは?」

娘「えっとねー…(アンパンマンの人形でカンパチを指さし)これください!」

俺「カンパチですね。少々お待ちください。シュッシュさんは何にします?」

娘「えっとねー…これください!」

俺「なんて書いてある?」

娘「ひ…ら…め、って、書いてあるよぉ!」

俺「ヒラメですね、少々お待ちください。クマちゃんは何にします?」

娘「えっとねー、た…い…、って、書いてあるよぉ!」

俺「タイですね!少々お待ちください!」

 

お寿司屋さん、大繁盛です。オーダーを受けたら次のページをめくります。

 

俺「じゃあ、クマちゃんが頼んだタイを探してください!」

娘「えっとねー…………あったよぉ!これ!」

俺「正解です!ではシュッシュさんの頼んだヒラメを探してください!」

娘「えっとねー…」

 

どうですか。無限の展開で遊べるというのも決して誇張ではないでしょう。これマジで楽しいんです。小さいお子さんいらっしゃる皆さまはぜひおすしのずかんでお寿司屋さんごっこを楽しんでください。

 

 

 

 

 

さて、こうも毎日お寿司屋さんごっこで遊んでるのだから、そろそろ娘も寿司屋のカウンターで自分で注文できるのでは?と思うようになりました。なので娘と回転寿司屋に行ってきました。

 

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自宅がある地域は東京の下町で、回らない寿司屋さんはたくさんありますが、回転寿司って全くないんです。なので、電車で秋葉原まで来ました。よく通りかかるところにある回転寿司屋さんです。ここで娘のカウンターオーダーデビューを華麗にきめることにしました。

 

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がっ…店に入るなり青ざめる…!この店では…カウンターから寿司職人さんの顔が見えないっ…!娘の声の張り方では…職人さんに注文が通るとは到底思えないっ…!

 

なので、最初は俺が注文しました。俺のサバとアジ、そして娘の玉子です。娘は玉子をおいしいねおいしいねと言いながら食べていて、それはもうほっこりしましたが、しかし今回の目的は娘が自力で自分のオーダーをすることなのです。さんざん練習しました、「玉子ください」「玉子ください」と。その練習の成果を、ぜひ実践で発揮したい!

 

…などと考えているうちに、回ってきたかっぱの皿を奥さんがひょいっとすくって娘にカッパを与えました。いかん。うかうかしていられない。次の皿が、事実上の娘の最後のオーダーだ。職人さんにオーダーを通すのは無理、ならばフロアにいる女性に頼むしかない…!俺はスッと店員さんを呼んだ。

 

俺「すいませーん!」

店員「はい、ご注文をどうぞ!」

娘「…」

俺「娘ちゃん、何が食べたかったんだっけ」

店員「お嬢ちゃん、なににしますか?」

俺「(小声)玉子ください、って言ってごらん?」

「たまごくださーい!」

 

言えた!!!!娘、自分で自分の注文をした!!!!

 

あ、すいません親バカで…しかし3歳0か月の娘が、俺の補助があったとはいえ、回転寿司のカウンターで自力で注文するの、偉くないですか?この様子をほほえましく見てたフロアの店員さんもノリノリである

 

店員「7番さんのベビちゃん玉子一丁!!」

職人「あいよ、ベビちゃん玉子一丁7番さん!!」

 

伝わったっ…!!娘の意思が…口から店員さんに伝播して…そして職人さんに伝わり、職人さんが…職人さんが玉子巻きを作り出すっ…!!娘のために…!!

 

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思わず娘とハイタッチしてしまった。回転寿司だけでここまで盛り上がるのすごくないですか?

 

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これが娘が人生ではじめて自分の力で注文して出てきた玉子巻きです。俺も1個貰いました。とってもとってもおいしかったです。

 

小さいお子さんのいる皆さまも、ぜひおすしのずかんで遊んでみてください。本当におすすめです。