天空の果物園芸クロニクル

果物を食べたらその種を地に植えたくなるのは人の業というものだ。

 

俺のベランダ園芸で育ててる鉢の半分ぐらいは果物を食べた種から育てたものである。いちばんの古株はマンゴーで、樹齢は10年になる。写真の右の木だ。

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10年前の当時は東国原英夫が宮崎県知事に就任したばかり。「宮崎のセールスマン」を自任し、連日マスメディアに登場しては知事自らが宮崎の特産品をPRしていた頃の話である。母の日のプレゼントとして奮発して買った完熟マンゴー、食べきれないからと1つ貰って帰ったのを植えたのだったと記憶している。一つの種から二股に芽が出た、珍しい樹形が気に入っている。今年の頭に病気にかかり枝の大半を切除した。これはもうダメかと思ったが、夏には葉がわさわさと生え出し、最盛期よりはちょっと小さくなってしまったけれど今でも元気な姿を見せている。

 

左側のストロベリーポットからにょきっと生えてるのはカリンの木である。一昨年の冬、よちよち歩きだった娘と奥さんの3人で行った小石川植物園で拾った種を植えた。そしていくつか芽が出てきたのを間引いて残った一株である。1年目はほとんど成長しなかったが、2年目の今年はみるみる成長しマンゴーと変わらない高さになった。小石川植物園のカリンはとんでもない大木であり、このペースで成長してったらうちのベランダもとんでもないことになるな…といまから戦々恐々である。

 

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これはたぶん巨峰である。たぶん、というのはいまだに巨峰である確証がないからだ。ある日突然鉢植えから見たことのないツルが生えてきて、なんだろう、と思いつつも育てたらひと夏でここまで大きくなった。俺はいろいろな果物や野菜の種を植えていて、芽が出なかったら同じ場所に違う種を植えてしまうので、1年経ったらなにを植えたのかサッパリ分からないのである。ツルだし、ゴーヤの種を植えた記憶があるのでゴーヤかな?とも思ったがネットで画像検索をすると葉が全然違う。SNSで「この植物なんですか?」と問いかけたところブドウに似てると教えてもらったので、そういえば、と巨峰を食べた時に種をいっぱい植えたことを思い出した。なのでたぶんこれは巨峰である。

 

ツル性の植物だったと思っていたので吊り篭の鉢に植えてしまったが、ブドウなら最終的に樹木になるのでこのままでいいのだろうか…。や、今はベランダの排水管に伝わせているけど、やりようでは藤棚みたく良い感じになるんじゃないか、などとぼんやり思っている。

 

 

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ある日、植えていたグレープフルーツの葉にイモムシが数匹いるのを発見した。本来ベランダ園芸においては蟲と共存することはできないので当然のように潰そうとしたのだけど、「娘が蝶になるのを楽しみにしてる」と奥さんに言われ、なんだか自分がナウシカから王蟲の幼生を取り上げた嫌な大人になってるようで反省し、捕獲し育てることにした。アゲハ蝶の幼虫である。柑橘系の植物の葉しか食べないらしい。

 

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しかしまあよく食べる。最初は植物にとっての害虫という認識しかなかったが、こうやって育ててるとだんだん愛着がわき、気持ちのいい食べっぷりじゃないか、となる。

 

 

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でかくなりすぎ手狭になったので引っ越した。

 

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イモムシはあっという間にサナギになり、そして立派な蝶になり、巣立っていった…。この間たったの3週間である。蝶になった姿を見た時、娘の成長に重ね合わせてみてしまい、うるっとした。娘もいずれ巣立っていくのだ。

 

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ハナマサのレジの後ろの荷詰めスペースにパイナップルの葉がポロっと置いてあった。たぶんパイナップル丸ごと1個買った客が「邪魔だから」と葉をもいで捨てて行ったのであろう。こういうのを拾って自宅で育てるのは正しいベランダ園芸家の態度であるので、持ち帰って水耕栽培で育てた。

 

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しばらくすると根が生えてきたので、鉢に植え替えることにする。

 

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土の大半は都市腐葉土である。主な成分は乾燥したトウモロコシの葉・使用済み麦茶の茶葉・使用済みコーヒーの粉などである。

 

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これで立派な鉢植えになった。

 

これらの鉢植えはあくまで観賞用で、結実は全く期待してない。純粋に植物としての美しさを愛でている。そしてすべてが縁あってこのベランダにやってきたものなので、その縁を大事にしていきたいと思っている。

 

つづく。

 

 

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