タケノコ会記事の続きです。
前の記事でも書きましたが、この竹林は今年で全て伐採されてしまうので、なんとかこの竹をうまく残せないかな…と考えた結果、記念に竹を一本もらって家で鉢植えにしよう、と思い至りました。
竹を切ります。両側から切るといいそうです。
倒れました。
しかし全部で10mくらいある竹、電車で持って帰れないので、根元側の太い部分を3mほどいただくことにします。
娘に竹の枝を渡したら、嬉しそうに竹を掲げ、葉を振りながら竹林の中を練り歩きました。原始宗教の誕生だ、との声があがりました。
…かと思ったら、唐突にドスッと竹の枝を地面に差しました。この地点が娘にとって何か重要なポイントなのかもしれません。アムンセン隊の南極点到達を想起させるような感動がありました。
こちらも負けじと竹の枝を集めて生け花的なインスタレーションをつくって遊びました。竹の枝も持って帰って竹ぼうきをつくると面白いな、と思いましたが、大変すぎるのでやめました。
さて、竹を持って帰る段になりましたが、竹林の中では小さく見えた3mの竹も、電車に持ち込む場合には大変な大きさでした。さすがに普通車両では迷惑すぎるのでグリーン車を利用しましたが、それでもおさまりきれません。客室乗務員さんも困惑しておりましたが、我々が降りる駅まで自動ドアを開けておいてくれるとのことでした。申し訳ない気持ちでいっぱいです…。本当は大宮で途中下車して世界盆栽展を見ようと思っていたのでしたが、迷惑すぎるのでやめました。電車内に竹を持ち込む時は、人の身長よりも短く切ろう、という知見を得ました。
上野駅で降りましたが、これを持って山手線に乗り換えるわけにもいかず、かといってバスもタクシーも利用できないので、上野から自宅まで30分かけて自宅まで竹を担いで帰りました。へとへとになりました。この日はもう竹を切る気力も無くなってしまったので、玄関先に数日間このような形で放置しておきました。玄関扉を開けるたびに「ガッ」ってなるので奥さんも「ちょううぜえ」というような態度を示しました。早急に竹を切る必要性を感じました。
待ちに待ったGWの早朝、さっそく竹を真ん中で二つに切り、ついでに鉢用に二つ切り出しました。我が家に平穏が訪れました。
ドリルで底に穴を開けます。
鉢底はこのようになりました。
節のところに白いカビのようなものがついているのでタワシで洗いました。
洗うとキレイに落ちましたが、水がかわくと表面にツヤがなくなりました。木製家具にオイルを塗るように、竹にもオイルを塗った方がいいのかもしれません。
サラダ油を塗りました。探せば竹専用オイルも地球上に存在するのかもしれませんが、そこまでの情熱もないので家にあるもので代用しました。外側と内側に塗ってティッシュで余分な油をふき取ります。ちなみにたこ焼き用の油引きを使用してますが、これは買って後悔した代物で、一日に数百個たこ焼きを作るには便利ですが、家でこれを利用するのはメンテが大変だしキッチンペーパーの使い捨てで十分だと思いました。買うにしても先端をキッチンペーパーにして使い捨てできる油引きがありますのでプロ以外はそちらを買うといいと思いました。
上が何もしてない竹、下がサラダ油を塗った竹です。明らかに美しいので満足です。サラダ油は干からびた大トロに塗るとみずみずしさが蘇るほどの万能調味料ですが、竹のみずみずしさすら蘇らせることができました。
とりあえずサボテンを植えることにします。鉢底に網を入れ、ハイドロコーンで満たします。割りばしを使ってるのは触ると痛いからです。
完成です。とりあえず鉢として機能してるように思えました。この二つは先行試作型なので、量産化の際には切り方など工夫の余地はあると思いました。門松のように斜めに切っても面白いかもしれません。また、竹の節は斜めになっているので、これを踏まえて切り方を考える必要を感じました。
余談ですが、娘が生まれた時になにか記念樹として育てよう、と思い立ち、ちょうど山椒がベランダにあったら素敵だな…と思っていたところだったのでサカタのタネで山椒の苗を買い、「娘が生まれた記念樹として育てます!!」と意気揚々とインスタに写真をアップしたのですが、数か月後に枯れた、ということがありました。植えた記念樹が数か月で枯れる。縁起が悪い以外の何物でもありません。
後で知ったのですが、山椒はデリケートな植物なので育てるのが大変なんです。記念樹として育てるなら、雑に扱っても死なない植物が良い、という学びがありました。
というわけで必然としてのサボテンです。娘がやがて大きくなって一人暮らしをするようになり、久しぶりにこの家に戻ってきたところを想像します。昔の写真をパラパラめくる娘。「小さいときにタケノコ掘りなんていったんだねえ。ぜんぜん覚えてないよ」「その竹林はね、その後に伐採されちゃって今はもう無いんだよ」「へえ、残念だねえ」「…このサボテンの鉢に使ってる竹はその竹林の竹を使ってつくったんだよ」「え!!そうなの!?小さい頃からずっとこのサボテンあったけど、全然知らなかったよ!!」…というサプライズがしたいので、今から老後が楽しみです。