2年前の話だが、写真データの入ったハードディスクをクラッシュさせてしまった。幸いにもそういったデータを復旧させてくれる業者があったのでそこに依頼し無事にデータは戻ってきた。「ちゃんと復旧してるかどうか確認していただいてもよいですか」と言われたが、そもそも写真の量は膨大でどの写真が抜けてるなどということは分かりっこないので、「全て復旧できてると思います」と言ってデータを受け取った。以前の写真データは撮影した機材別、日付別に階層化されていたが、復旧したデータは名前も日付もバラバラになっていた。そういうものなのか、と思った。データが無事ならとりあえずは安心で、そのまま2年間ほったらかしにしたまま今日に至る。
先日、用事があり昔撮った蔵前の写真で良い写真はないかどうか探したが、かつての写真フォルダを漁ってたらなかなか面白かった。時系列がまるでばらばらの写真が一緒くたになっているのだが、そのバラバラぶりが面白かったのだ。俺が自分の意思で選んだら絶対にこうはならない、この写真とこの写真は紐づかない、という感じで並んでいて、まるで他人がセレクトしてくれたかのようなごちゃごちゃぶりがとても面白く感じた。まるで水に浮かべたマーブリングの技法のように、偶然がとても美しいと思った。
森山大道さんはある街の写真を集中的に撮って、何百本というフィルムを数年間ほったらかしにして、その後に現像してる、という話をどこかで読んだ。なるほど数年前に撮った、もうほとんど記憶のない写真をこうしてごちゃまぜにして大量に見るのは面白い。
もちろん、他の人が見たらまるで面白くもない写真がつらつら続いてるだけに感じるかもしれない。撮った本人である俺でさえ、なぜこんな写真を撮ったのか分からない。しかし、だからこそ、
俺はこれが面白いと思っている。なのでここにこうして上げる次第である。
まだ十分の一も整理できてないので、このシリーズ続きます。