家飲みウィスキー党の至高の飲み方は「ファイナルアップ」、もはやこれは常識

今週のお題「家飲み」

 

はてなブログにはお題ボタンというものがあり、一週間ごとに記事のお題が設定してある。別に書いても書かなくても良いのだが、これは俺の得意分野なので書く。

  

俺は家で普段ウィスキーを飲み、奥さんは家で普段ビールを飲む。

 

皆に聞きたいのだけど、エヴァンゲリオンミサトさんの家の冷蔵庫を思い出してほしい。ビールでいっぱいである。あれを見て何を思うだろうか。酒好きなんだろうなあ、って、そういう感想だろうか。いや、もちろん酒好きなのだろうが、同時に俺はミサトさんの意思の強さを感じずにはいられない。だらしないようにみえて、さすがは職業軍人である、と思わずにはいられない。なぜなら、もし我が家の冷蔵庫があのような状態になっていれば、我々は冷蔵庫にあればあるだけ酒を飲んでしまうからである。

 

冷蔵庫に500mlロング缶が2本あれば、翌日には無くなっている。ロング缶が4本あれば、翌日には無くなっている。ロング缶が6本あれば、翌日には3本になっている。なぜ3本なのかといえば、翌日また3本飲めるなという思案が働くからである。これがもし4本だとしたら、今夜3本飲んだら明日は1本しかない、どうしよう、ええい4本全部飲んでまえ、となる。これをふまえて、もしうちの冷蔵庫がミサトさんの家の冷蔵庫状態だったらどうなるか考えて欲しい。あれだけ在庫があれば明日の酒の心配はない、となれば…飲む…!飲んでしまう…!ありったけのビール…!あればあるだけ…飲む…!限度まで…!

 

なので、我々はこと酒に関しては意思が弱いので、安いからとビールを箱買いしてしまったらあればあるだけ飲んでしまい結局は高くついてしまうので、酒に関しては基本的に冷蔵庫によぶんな在庫はもたず、常に500ml2本を揃えておく、無くなったら2本補充する、という方式に落ち着いた。

 

もしこれが350ml2本だとしたら、飲み足りない奥さんが絶対に「足りない。コンビニで買ってきて」と言い出すのに決まっているのである。我々が試行錯誤の末にたどり着いた家飲み損益分岐点、それが500mlロング缶2本なのである。

 

ことビールに関して言えば我々はかなり緻密な在庫管理をしていることがお分かりいただけただろうか。トヨタカンバン方式、ジャストインタイムの思想が我が家の冷蔵庫においても導入されているわけである。

 

それに比べたら、ウィスキーは楽だ。700ml瓶1本買えば、1週間は持つ。1週間で必ず1日は休肝日を設けているので、700ml÷6日間=1日の酒量約120ml、ダブルで2杯分。十分な酒量である。もちろんあればあるだけ飲んでしまうこともできるが、1週間のうちウィスキーを買っていいのは金曜日の夜だけ、というマイルールを課すことで、1週間単位の大局観を持って1日の酒量を調整しているのである。

 

俺が最近好きなウィスキーはブラックニッカリッチブレンドだ。

 

いいちこが下町のナポレオンなら、ブラックニッカリッチブレンドは下町のアレキサンダー大王といっても過言ではない。

 

え?

 

下町のナポレオンのナポレオンは人名じゃなく酒の名前だ、って?

 

そんなことは分かり切ってる!!分かり切ってるが、ここで下手な酒の名前を出すと戦争が始まるのである。

 

仮に、仮の話だが、じゃあここで仮にブラックニッカリッチブレンドは下町のボウモアである、と断言したとしよう。何が起こるか。決まっている。うるさいウィスキー党が絶対に戦をしかけてくるのである。「ボウモアとブラックニッカ、方向性が全然違うだろwむしろシーバスリーガルの〇〇年の…」「むしろ下町のアイラモルトといえばカティ―サークで…」「お前ら安いカティーサークしか飲んだことないのかよw カティーサーク33年は…」

 

うるせーーーーーー散れーーーーーーー!!!!!!

 

ああ、なんて面倒くさいの?もうだめだよ、ウィスキー党なんて面倒くさい人しかいないんだよ!株式会社はてな、なんて面倒なお題を出してしまったの?だから酒の話なんてしたくないんだよ俺は!!

 

もうね、君らがウィスキーに詳しいの分かった。よーく分かった。あなた達に対してマウント取る気はさらさらないから。だいたい、ウィスキー党はうるさいんですよ。ワイン党の次に面倒くさい。ワラの匂い?知らねーよ、ワラでも食ってろという感じである。ああ面倒くさい。俺の感じる面倒くささの概念図は以下の通りである。

 

ワイン党>>>>>越えられない壁>>>>>ウィスキー党=日本酒党>>>ビール党>>>>>>>越えられない壁>>>>>>>>焼酎党

 

このレベルの面倒くさい人たちの前で、迂闊に「下町の〇〇」とかって言える?言えないでしょ?だからいいんだよ、下町のアレクサンダー大王で。

 

話を戻そう。ブラックニッカリッチブレンドがいかにコスパの良い美味いウィスキーであるかという話である。

 

俺の感覚だと、1mlあたり2円以上するウィスキーが高級酒である。700mlで1400円以上。この金銭感覚だと、サントリー角ですら高級酒である。なので普段はよくブラックニッカクリアを飲んでた。1ml1円クラスのウィスキーだ。

 

ブラックニッカ クリア 瓶 700ml

 

しかし去年、数量限定でブラックニッカブレンダースピリットというウィスキーが発売された。俺が気づいた時にはすでにプレミアついて1本5000円とかになっていた。定価3000円くらいの酒に5000円。1ml7円。買えるはずがない。買えるはずがないが、俺もブレンダーさんのスピリットを感じたい…

 

ブラックニッカ ブレンダーズ スピリット 瓶 700ml

 

そう思ってた時に酒屋で出会ったのがブラックニッカリッチブレンドである。ブレンダーさんがリッチにブレンドしてくれているわけである。ブレンダーさんのスピリットの残り香のようなものを、俺はブラックニッカリッチブレンドに感じているのである。

 

ブラックニッカ リッチブレンド 瓶 700ml

 

実売でだいたい1000円くらい。1ml1.5円のウィスキーだ。普段ブラックニッカクリアを飲んでる俺からしてみれば、同じ安酒でもたった300円の違いでこんなに美味しいんだ、ってなった。味が、香りが、豊かというか…いや、リッチ言うてるやん、ってことなんだろうが…本当にリッチだなあ、って、それしか表現できないんだけど…。え?語彙が貧弱?うるせーワラでも食ってろ。

 

まあね。俺みたいな貧乏舌が、あれが美味いこれが美味いって言わないですよ。知ってますから。あなたの方がお詳しいですから。マウント取る気なんてさらさらないですから。

 

でも、これだけは言わせてほしい。

 

家飲みウィスキーの至高の飲み方、それはファイナルアップであると!!!

 

銘柄についてはマウントを取る気はさらさらないけど、飲み方なら話は別だ。あんたファイナルアップで飲まないの??かーーーー。ウィスキーに対するリスペクトがまるで足りないねあんた。おーっと、ググっても無駄だぜ坊主。なぜなら、ファイナルアップって、俺が勝手に名付けただけだから。この概念、本邦初公開である。この広大なグーグルの大地に、ファイナルアップについて書かれた記事は存在しない。

 

いいだろう、諸君。至高の飲み方、ファイナルアップを紹介しようではないか。

 

ここまで煽っておいてなんだが、ウィスキーの飲み方なんて自由である。好きに飲めばいい。ウィスキー党の中で幅をきかせているのは、トワイスアップ原理主義者である。ウィスキー党の中での少数勢力であるにもかかわらず、声がでかいことで有名だ。曰く、至高の飲み方だと。花開くと。知らんがな。好きに飲めばいいがな。という気になる。

 

しかし、そんな俺でも、家飲みウィスキーの至高の飲み方はファイナルアップであると断言してしまうのである。や、別に好きな飲み方をしてくれて良いんです。良いんですけど、ボトルの中の酒量が30mlぐらいになって、あ、これが最後の一杯だな、ってなったら、みんな迷わずファイナルアップで飲んでほしい。

 

作り方はこうだ。残りの30mlのウィスキーを全てグラスに注ぐ。瓶は空になる。いや、本当に空になったのだろうか?ここで空になったと言える奴は、ブレンダーのスピリットを感じていない。必ず数滴、ウィスキーが残っているはずである。瓶の中は、まだウィスキーの香気で満たされているはずである。そこに水を入れる。分量は自由だ。トワイスアップなら30mlの水でよいし、これより多くても少なくても良い。自由だ。そして栓をする。そしてシャカシャカふる。思いっきり振る。栓を開ける。振った水をグラスにそそぐ。以上である。

 

ウィスキーは究極のカクテルだ、という言葉がある。ご存知の通り、ウィスキーは通常いろいろな樽からブレンドしているからである。カクテルレシピっぽく言えば、瓶をシェーカー代わりにして水30mlをシェイクし、ウィスキー30mlにビルドアップして飲む、ということになる。シェイクしたら水に空気が含まれる、シェイクの仕方で風味は変わる。

 

瓶に残った数滴のウィスキーまで余さず飲む、これがファイナルアップの神髄である。ブレンダーのスピリットを最後の一滴まで感じる。ビンもきれいになり資源ゴミとして循環する。これ以上完璧な飲み方が他にあるだろうか。

 

あんた、さっきは偉そうにご高説を垂れてたけど、ファイナルアップ知らんかったんだってなあ?ん?今まであんたが捨てた瓶に残ったウィスキー、どんだけの量あるんだろうな。全部集めたら700mlくらいになるのかな。ブレンダーさんがそれつくるのにどれだけの年数と手間暇かけてるのか知らないはずないだろ、ええ??

 

キマった。完全にマウンティングが決まった。ウィスキーに今まで費やした金と時間と情熱はあんたの方が上だろう。しかし、こと家飲みの飲み方に関して言えば俺の方が上だった。いや、いいんだ。俺もあんたもただのウィスキー好きでただの酒好きだ。それでいいじゃないか。

 

 

 

俺も奥さんも酒が好きだ。そもそも奥さんが酒好きであり、週末のデートと言えば奥さんの職場があった池袋の立ち飲み屋か、俺の職場のある浅草橋の立ち飲み屋か、と、そういう感じであった。俺はもともと酒を飲む方ではなかったのだが、奥さんと付き合ってるうちに調教されてしまい、現在では俺の方が飲むようになってしまった。そんな次第である。

 

週末居酒屋めぐりが好きだった我々も、奥さんが妊娠してからはそれが出来なくなってしまい、出産したら出産したで娘が粉ミルクを飲むのを拒否するようになり母乳しか飲まず、奥さんの断酒はなおも続いた。俺は酒が大好きな奥さんの前で酒を飲む気にもなれず、俺も断酒した。

 

娘が乳離れしたのは忘れもしない娘が1歳8か月の正月だった。終わった。妊娠期間からかぞえて2年以上に渡る長い断酒期間が終わった。それはまさに戦いであった。いや、奥さんが一番戦ってたのはもちろんだが、俺は俺で戦ってたのだ。その長きにわたる戦いが終わった。

 

断酒期間があけて最初に家で飲んだ缶ビールの美味さったらなかった。最高だった。まるでナチスドイツからパリを奪還したパルチザンたちが飲んだ祝杯のような開放感…と言ったら言い過ぎなのだろうが、いやでもこれ比喩でもなんでもなくて長きにわたる戦いから解放された日の祝杯なのだった。

 

そんなわけで、今は家飲みがメインである。付き合いで行く以外には居酒屋にもいかなくなってしまった、もちろん居酒屋は大好きなのだけど、あの断酒期間のつらさを考えたら家飲みできるだけで十分幸せなのである。

 

 

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