ソドムとゴモラを滅ぼした天空のベランダ園芸と都市腐葉土

枯れる。植物が枯れる。

 

ここは東京のとあるマンションにある東側を向いたベランダ。灼熱の太陽が照り付け、室外機の熱風も吹きつける過酷な環境だ。まるで生物が生きていく環境にない。

 

俺はいままで数えきれないほどの植物を枯らしてきた。

 

「ハーブなんてね。雑草なんです。繁殖力が旺盛で、放っておいても育つから。むしろ増えすぎたハーブを除草するのが大変で(笑)」

 

ええ?何が簡単だ?何が繁殖力が旺盛だ?見てみろ、お前さんが雑草だから放っておいても育つと言い放ったミントですら全滅じゃねーか。庭でのびのび植物を育てられる環境と、砂漠よりも過酷なマンションベランダ園芸を一緒に語るんじゃねーよ!!

 

今日も植物を枯らせてしまった。

 

植物を枯らせてしまうと、決まって俺の脳内で少女が俺を責め立てる。

 

「…どんなに恐ろしい武器を持っても、たくさんのかわいそうなロボットを操っても、土から離れては生きられないのよ!!」

 

黙れ小娘ーッ!庭付き戸建てに住んでる王族の娘のポジショントークにはうんざりだ!!いいだろう、俺がみせてやろうじゃないか。土から離れても園芸はできる、と!

 

これはベランダ園芸日誌である。

 

マンションベランダ園芸においてはやはり土をどうするのか問題というのがあって、まあ一般的にホームセンターとかで買ってエレベーターで運んでベランダに持ち込むのだろうけど、たぶんそんなことをやってるようでは俺の脳内の小娘にせせら笑われるのは目に見えてるのである。あらあら土から離れて生きる人たちはわざわざ土を買って天空の城まで運び込むんですか(笑)的な。なので、土はできうることなら自給自足で生み出したい、その循環こそが持続可能な天空園芸を可能にするのだ、という思いがある。

 

なのでミミズコンポストのことをめっちゃ調べた。

 

みみず御殿日記

 

しかしミミズは逃げる生き物なので、これを俺のベランダでやったらベランダが干からびたミミズでたくさんになることは容易に想像つく。

 

家庭用バイオ式生ごみ処理機 バイオクリーン BS-02

 

一時期、家庭で出た生ごみを処理して肥料にする機械を買おうかどうか真剣に悩んだことがある。23区の自治体なら購入にあたってたいてい補助金がでる。

 

 「…どんなに恐ろしい武器を持っても、たくさんのかわいそうなロボットを操っても、土から離れては生きられないのよ!!」

 

そうらおいでなすった。お前の言いたいことはこうだろう。そんなメカに頼るなと。そのような高度な文明の利器にたよりきってしまったらいつか神の怒りにふれ滅ぼされると。いいだろう。自力で土を生み出してやろうじゃないか。

 

都市鉱山、という言葉がある。不要となったパソコンやスマートフォンなどの廃棄物からレアメタルを回収する、それが都市鉱山だ。

 

ならば俺のやろうとしていることは都市腐葉土といえるのではないだろうか?

 

念のためにぐぐってみたけど、都市腐葉土という言葉を使ってる人は2017年7月現在においてどうやら確認できなかった。

 

俺が、俺が生み出し土こそが、都市腐葉土だ!

 

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枯れ果てた鉢植えから回収した不要な土、野菜くず、コーヒー殻や茶殻などを混ぜたものだ。一般的な腐葉土であればこれをミミズなどに食べさせるが、そもそも蟲の力を借りる必要があるのかという問題提起がある。なぜなら、水耕栽培用のハイドロカルチャー、つまり石のみで植物は育つからだ。有機物を細かく刻み極度に乾燥させた代物で植物は育てられるのではないか?蟲に有機物を食べさせるのが土属性の園芸なら、風属性の園芸は有機物を乾燥させ風化浸食作用で細かく砕いたものを用土に用いる。これが俺の提起する都市腐葉土である。都市にミミズはいないのだ。

 

これはベランダ園芸日誌である。死の大地、灼熱のマンションのベランダで、試行錯誤で土を生み出し、持続可能な園芸を目指す記録である。

 

不定期でつづく。