3泊4日で海外のポーカー大会に参加し上位入賞した話

www.mizuhebi.com

 

前エントリの続きです。

 

私は11月1日~4日にフィリピン・マニラで開催されたポーカーのとある世界大会(Manila Open Poker Tour 、以下MOPT)に参加してきました。結論から言うと、「6-max」という種目で参加者116人中9位で入賞を果たし、海外初参加で初の賞金獲得(インマネ、in the money)となりました。わー!やった!嬉しい!

 

国際大会で賞金を獲得したプレイヤーは、Hendon Mobというwebサイト( Largest Live Poker Database - Poker Hendon Mob )に名前と通算獲得賞金額が掲示されます。

 

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これが私のページです。74,300ペソ賞金獲得なんで、約15万円くらいです。その下に日本での大会の記録も載っているのですが、貰ったのはあくまで渡航費補助であり現金ではないので賞金獲得額にはカウントされていません。

 

ポーカーという運のからむ競技では常に勝ち続けるということはできません。しかしほとんどの局面でポーカーはスキルゲームであり、強いプレイヤーは高い優勝率・高いインマネ率を誇り、当然のことながらそれは通算獲得賞金額にも反映されます。

 

Hendon Mobに載ってる生涯通算賞金獲得額の1位はアメリカのBryn Kenneyで、その額はなんと約60億円(!)

 

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日本人の生涯獲得賞金ランク1位は小倉孝プロの約1億8000万円、とてもすごい数字ですが、それでも世界ランクでは1129位になってしまいます(2019年11月時点)。世界の壁は厚い。

 

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ちなみにポーカープレイヤーとしても有名なGacktさんももちろんhendonに載ってます。生涯獲得賞金約1700万円、日本人ランク60位。かなり凄い成績です。

 

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多くの競技ポーカープレイヤーにとってHendon Mobへの掲載はとても名誉なことであり、このレーティングで少しでも上に行くべく日々切磋琢磨しているというわけです。

 

海外のポーカー大会(MOPT)に行ってきた話

 

ではここから海外のポーカー大会、MOPTに行ってきた話をつづっていきたいと思います。前回のエントリでも触れた通り、私はすでに国内の大きな大会で準優勝を2回はたし、渡航費補助として約80万円のプライズを獲得しておりました。このプライズを利用しMOPTに参加しました。渡航費、宿泊費、大会参加費は渡航費補助から賄われるので実質無料というわけです。

 

japanopenpoker.com

 

MOPTを主催するのは日本の団体です。過去の大会でも日本人参加者が多く、初心者にも参加しやすそうだったので参加を決めました。まずはMOPTがどんな大会なのかを説明します。

 

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これがMOPTのスケジュール表です。4日間で9種目のポーカー大会が行われ、参加費さえ払えば誰でも参加が可能です。一番のメインはその名の通りMain Eventで、メインイベント以外のトーナメントはサイドイベントと呼ばれます。この表のBuy-inとは参加費のことで、例えば#1の参加費は15,000ペソ(約30,000円)になります。15,000ペソのうち1,800ペソは運営費に充てられることが明示されており(レーキといいます)、残りの13,200ペソ×参加人数の総額(プライズプール)から上位入賞者の賞金を割り当てられるという仕組みです。

 

では、それぞれのトーナメントの特徴を説明しましょう(長いので読み飛ばしてもかまいません)。

 

#1 Kick Off

前哨戦です。他の大会ではWarm Upとも呼ばれます。メインイベントへむけての調整として参加される方が多いのではないでしょうか。調整といってもれっきとした賞金付きのトーナメントであり、今回の場合は1位賞金約110万円です。

 

#2(s) Super Satellite to Main Event

サテライトとはポーカーにおいては本戦の出場権を得るためのトーナメントのことを意味します。今回の場合は参加費約10,000円のサテライトを通過すれば参加費約100,000円のメインイベントに出場できるというわけです。大会によってはサテライト通過者しかメインイベントにしか参加できない、事実上の予選としてのサテライトを行っている場合もありますが、MOPTの場合はお金さえ払えばメインイベントは誰でも参加できますので、この場合は単に100,000円を得るためのトーナメントだと言っても差し支えありません。

 

#2 Main Event

3日間にわたってトーナメントを戦う、文字通りのメインイベントです。DAY1はA,B,Cの3回にわたって行われ、DAY1Aの通過者、DAY1Bの通過者、DAY1Cの通過者がそれぞれDAY2に駒をすすめ、DAY2の通過者がDAY3に駒を進めます。総エントリー数596名、インマネは87位(賞金約16万円)以上、賞金総額(プライズプール)約5100万円、優勝賞金額約910万円。この大会の参加者全員がメインイベントでの優勝を目指しているといっても過言ではありません。

 

#3 Night Stack

深夜時間帯のトーナメント。ポーカーの大会はある意味でお祭りなので、夜通しでポーカーが行われます。この時は22時開始で翌3時くらいまでトーナメントをやっておりました。

 

#4 Deep Stack

#9 Turbo

ともに1日完結のトーナメントですが、ディープスタックはゲーム開始時のチップが多く、ターボはゲーム開始時のチップが少ないのが特徴です。それゆえ一般的に前者はトーナメント終了まで丸一日かかるのに対し、後者はほとんどが半日で終了します。また、ディープスタックはほとんどがポストフロップの戦いになるのに対し、ターボでは中盤以降はプリフロップオールインで決着つく局面が多くなる…といった具合に、ディープとターボでは戦い方がかなり違ってきます。ディープスタックよりもスタックが多い場合はメガスタック、ターボよりもさらにスタックが少ない場合はハイパーターボと呼ばれます。

 

#5 Flip Out

これはどちらかというと競技というよりもビンゴゲームやジャンケン大会に近く、祭りの余興といった意味合いがつよいかもしれません。ポーカーはポーカーなのですが、ハンドが配られた時点で強制的にオールインとなるのが特徴で、つまりくじ引きと同じように完全に運だけで勝者がきまります。フリップアウトを勝ち抜いた後は通常のトーナメントを行い勝者が決まります。

 

#6 High Roller

ハイローラーとは参加費の高いトーナメントを意味します。今回の場合はメイン参加費約10万円に対しハイローラー参加費は約20万円です。しかしこれでもハイローラーの中では安い部類で、他の大会だと50万円以上かかるのが相場で100万以上かかるハイローラーも珍しくありません。参加費が高いだけあって参加者は大抵ポーカー専業のプロか大会出場経験多数の強豪ばかりです。もちろん高い参加費だけにプライズプールも高く、今回の場合は参加者82人とメインの7分の1にもかかわらず、ハイローラーの優勝賞金は約400万円とメインの半分弱にも達します。

 

#7 Knockout

ノックアウト形式のトーナメントでは、通常の順位によるプライズに加え、他の参加者を飛ばした時にもプライズが発生するのが特徴です(バウンティーといいます)。チップが少なくなった参加者のバウンティーを狙って通常ではコールしないようなハンドでも積極的に参加するプレイヤーも少なくなく、狩ったり狩られたりととてもスリリングなトーナメントです。

 

#8 6-max

通常のトーナメントでは1卓につき9~10名で試合が行われますが、6-maxでは文字通り1卓につき最大6名で試合が行われます。10名の参加者がいればよっぽど強いハンドでないとそもそも勝負に参加ができませんが、6名であればそこそこの強さのハンドでもベストハンドである可能性が高く、通常よりもハンドレンジ(勝負に参加する基準)を下げて勝負をすることが可能になります。

 

以上がMOPTで行われる全トーナメントです。総エントリー数のべ1,732人、総賞金額約1億円にものぼったMOPTに参加した様子をお届けします。

 

11月2日(土)

MOPTは11月1日(金)から開催されてますが、私は仕事があったので金曜の深夜便でマニラに行き11月2日のトーナメントから参加することにしました。25:30羽田ー5:30マニラのJAL便、片道4時間のフライトです。

 

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イミグレで1時間近く待たされた。早朝からきつい

定刻通りマニラのニノイ・アキノ空港に到着しました。周りを見渡すと国内大会などで見かけたことのある日本人ポーカープレイヤーがちらほらおり、これからの大会に向け気分が高まります。

 

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ホテルへはタクシーを利用します

ニノイ・アキノ空港には電車が通ってないので、市内への移動は必然的にタクシーになります。白いタクシーと黄色いタクシーがありますが、後者は特別な認可を受けているタクシーで、前者だと悪質な場合はボラれる場合がある…と「地球の歩き方」に書いてあったのでおとなしく割高な黄色いタクシーを使いました。

 

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早朝だったので道はかなり空いてて快適だった


MOPTの会場であるオカダマニラへはタクシーで10分ぐらい。途中で運転手に「スカイウェイ(高速道路)を使ってよいか」と聞かれるので無難にOKと答えましょう。マニラは道路事情があまりよくなく、渋滞につかまったらとんでもない時間がかかってしまう…と「地球の歩き方」に書いてあったので(絶大な信頼)。高速料金は150円、かかったタクシー代は500円くらいです。

 

オカダマニラの中にある外貨両替所は空港内にある両替所よりもレートが良く、カードが使えずペソを使わなければいけないシチュエーションは(ポーカー以外の観光をしない場合)タクシーぐらいしかないので、事前に準備しておくペソは最低限度で大丈夫です。

 

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会場となるオカダマニラの外観。バブリー!

オカダマニラは日本人オーナーが2017年に開業したIR、いわゆる統合型リゾート施設です。ホテルはもちろん、カジノ、スパ、屋内ビーチ、ナイトクラブ、ショッピングモール、プール、こども向けの遊園地…ありとあらゆる施設が広大な敷地内に揃ってます。

 

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エントランスの様子。バブリー!

オカダマニラに到着。ホテルもここで取ってあるのでチェックインをすませ(英語が得意ではありませんが出川英語でなんとか通じました)、部屋に案内されます。

 

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部屋の様子。バブリー!

部屋代は1泊24,000円くらい。正直、こんな豪華な部屋でなくても良かったのですが、初めてのフィリピンで勝手が分からなかったのと、まあ自腹じゃないしな、ということもあってオカダマニラに部屋を取りました。もちろん周辺のホテルに部屋をとってるポーカープレイヤーも大勢います。オカダマニラに宿泊するメリットとしては「深夜を問わず気ままにカジノに出入りし、疲れたらきままに部屋で休める」というのと「館内の無料wifiが使用できるので海外用のwifiSIMカードを用意する必要がない」というのがあります。

 

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部屋の真ん中に鎮座するジャグジー。バブリー以外の感想がでてこない

まあでもこんだけ豪華な部屋をもらっても睡眠時間をのぞくと3日間で部屋にいた時間はたぶん1時間以下だったので、私には贅沢すぎました。家族を連れてリゾートを満喫しに来るのなら話は別ですが、ポーカーをやるためだけに1人で来るのなら近隣のホテルで十分だと感じます。

 

 

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朝食をとりにビュッフェへ

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和洋中ありとあらゆる料理が揃ってる

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朝からシースー

ここに限らずオカダマニラの料理は本当にどれも美味しかったです。普段ならこの3倍くらい量を食べてもとをとりにいきますが、深夜便だったし機内でも機内食を食べたのでこれでおなかいっぱい。もっと食べたかったです。

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腹ごなしに散歩。ホテルの目の前はすぐ海

フィリピンの平均気温はこの時期でも平均30度近くあり、半袖半ズボンでも大丈夫だしなんなら海でも泳げます。

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カジノを散策

カジノテーブル500卓、スロットマシン3000台を誇るオカダマニラのカジノです。今回のMOPTの会場はここになります。ポーカーはもちろん、バカラ、ルーレット、ブラックジャック、クラップスといった定番から、日本のゲームセンターにあるような競馬をはじめありとあらゆるゲームがあります。

 

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ここがオカダマニラのポーカールームです。ここで行われるのはポーカートーナメントではなくリングゲーム(キャッシュ)、要するにフリー雀荘と同じようにふらっと参加してふらっと抜けることが可能なポーカーです。まだ朝の9時ごろですがこの時点でけっこうな人がおり、午後3時ぐらいには全ての席が埋まり順番待ちになるほどの盛況ぶりでした。

 

私はポーカー以外のサイドギャンブルは一切やらないと決めていて、トーナメント開始13時まではまだまだ時間がたっぷりあるので、昼食までキャッシュで遊ぶことにしました。


まずキャッシャーと呼ばれる両替所でチップを購入する必要があります。100ペソのチップはそのまま100ペソで買えます。また、手持ちのペソがなくてもクレジットカードでチップの購入が可能です。とりあえず私は15,000ペソ分のチップをカードで買いました、日本円にして約30,000円くらいです。

 

麻雀と同じように、ポーカールームには何種類かのレートの卓が立ってます。一番安い卓から25-50、50-100、100-200、200-500となってます。25-50とは最低ベット額が50ペソであることを意味します。麻雀で例えるとピンフ1000点が50ペソ、くらいのイメージでしょうか。25-50卓にもちこめるチップの総額は5000ペソが上限なので、最大損失を被っても1万円まで。まさにポーカー界のテンゴと言えましょう。従って50-100は麻雀でいうところのピン、100-200は麻雀でいうところのリャンピンになります。少しは相場感が伝わりますでしょうか。

 

これよりさらに高いレートのポーカーテーブルももちろんありますが、それらはここではなくvipルームのような別室で行われてます。漫画家の蛭子能収さんが捕まった雀荘のレートがリャンピンでしたので、普通に遊ぶ分には100-200までで十分だと言えましょう。

 

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フィリピン風やきそば800円。お好みでレモン汁をかける。うまい

 

 私にとって初の海外キャッシュでしたので、とりあえず25-50の卓に座ります。客層は現地のフィリピン人であろう、日本で言うところのパチンコ店に出入りしてそうな雰囲気の年配者が3人、裕福そうな中華系プレイヤーが2人、欧米系の白人が1人、日本人が私の他に2人、うち1人は都内のポーカースポットで何度かみたことのあるプレーヤーです。私と同じようにMOPT参加までの時間つぶしなのでしょう。

 

卓で話せる言語は基本的に英語だけです。なぜなら日本人同士がインプレイ中に日本語でしゃべっていたら、通し(互いの持ってるハンドを教えあうイカサマ)を疑われるからです。厳しいポーカールームだと卓外のプレーヤーとプレイ外で雑談してるだけで怒られることもあるそうです。とはいえ、特段の英語力は必要ありません。

 

例えば1,000点チップ2枚で1,300点をベットしたい場合は、2,000点を出しながら「ワン、スリー」といえば1,300点の意味で通じます。同様に、10,000点チップ3枚で24,000点を賭けたい場合は30,000点を出しながら「トゥ、フォー」で通じます。下手に〇〇ハンドレッドとか〇〇サウザンとか発声してしまうと、ケタ間違いをしたときに死んでしまうので(たとえば10,000ペソ賭けるつもりが間違えて100,000ペソと発声してしまったら、発声優先で100,000ペソを賭けなければならなくなる)、よっぽどの英語話者でなければ出川英語での発声が無難でしょう。

 

リング卓はルーズなプレイヤーもいれば上手いプレーヤーもいて様々です。日本人はだいたい上手いです(そもそも腕に覚えがなければわざわざフィリピンまでこないでしょう)。現地の人や中華系の人は弱い人と強い人で両極端な印象です。前者はバカンスできてレクリエーションとしてポーカーを楽しみ、後者はそんな人たちを狙って獲物にしているのでしょう。ポーカーの世界ではいわゆるカモのことは「フィッシュ」と呼ばれます。強い人のことは「シャーク」と呼びます。お金を持ってるフィッシュのことは「社長」と言います。

 

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MOPT会場。海外勢にまじり多くの日本人プレーヤーがつめかける

最初は順当にチップを増やしていったのですが、たまたま中華系社長が3-BETしたときに私はAKを持っていたので社長狙いで4-BETオールインしたら脇のフィリピン人のおっちゃんがスナップコール(間髪入れずにコールすること。略してスナコー。強力なハンドを持ってる場合が多い)、社長は相当悩んでましたが渋々フォールド。話が違う!

 

おっちゃん「QQ」vs私「AK」

 

プリフロップオールインでよくぶつかることの多い大物手同士の対決になりました。互いの勝率はほぼ五分五分。このような勝負は「フリップ」「コイントス」「ジャンケン」などと呼ばれます。つまりコインの裏表を当てるのと同じで完全に運勝負ということです。私の勝利条件は5枚のボードの中でAかKが落ちること。落ちなければQのワンペアでQQの勝利になります。結果は特に何も落ちずおっちゃんの勝利、一撃10,000円オーバーのポットを取られました。リングのプリフロップでイキリオールインする必要なんてこれっぽっちもありませんでした、普通に4-BETしてれば最少失点ですんでたな…。まあこれが本番でなかったのが不幸中の幸い、午後からはいよいよ本番MOPTのスタートです。

 

 

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エントリーの受付票。指定されたテーブルのディーラーに渡すことでゲームに参加できる

 

エントリーの手順は以下の通り。

 

①オカダマニラのカジノカードをつくる(無料)。パスポートの提示が必要です。

②トーナメントの受付でカジノカードを提示しバイイン額を払う。ここではクレジットカードは使えませんが、手持ちのペソがない場合は同額のカジノチップで支払うことが可能です。
 

 

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戦闘開始!

 さていよいよMOPTメインイベントDay1Bのスタートです。手元にあるのは黄色の5000点チップ4枚、紫の1000点チップ7枚、ピンクの500点チップ4枚、黒の100点チップ10枚、合計30,000点の初期スタックで戦います。卓の半数以上が日本人でそれほど緊張感はありません。

 

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メインイベントでプレイする筆者。公式ページより

結果はあまりよくありませんでした。序盤でTT(10のポケットペア)を持ってるときにAAを持っている人とぶつかってがっつりとチップを減らしてしまい、中盤になんとか原点まで持ち直すものの、16時ごろにAJsのプリフロップオールインがKKに捕まり飛んでしまいます。19時ごろまで生き残ればDAY1通過だったのですが全く及びませんでした。

 

さんざんな1日でしたが疲れていたし初海外トーナメントなのでまあこんなものでしょう。部屋にもどって仮眠し夜のトーナメントに備えます。…のはずが目覚ましをかけずに熟睡してしまい起きたのは25:30。あわてて会場に行ったらすでに受付を終了してました。朝の4時過ぎまで100-200のキャッシュで遊んでこの日はおしまいです。

 

11月3日(日)

8時ごろ起床。水着を持参していたので午前中は気分転換にプールにでもいこうかとも考えたけども、さんざん悩んだ末にポーカールームで遊ぶことにします。

 

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ポーカールームでもポーカーしながら食事はとれる。便利な世の中ですね

 

昨晩からキャッシュでの調子がよく、この日も快調にチップを増やしました。最終的には3日間で20万円をキャッシュで稼ぎましたが、それはまた別の話。

 

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午後からDeepStackに参戦

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DeepStackで戦う筆者、公式サイトより

 このトーナメントでも中盤までなかなかチップが増えず、相対的にショートスタックになり苦しい展開。同じぐらいショートスタックのプレイヤーのプリフロップオールインを、ここが勝負所と44でコール、A6oが出てきてナイスコールかと思いきやフロップでAが落ちてそのまま飛んでしまいました。最後はジャンケン勝負に負けた格好ですが、中盤までにもっとチップを増やしていればジャンケンに負けてもまだ戦えたので、完全に力不足でした。

 

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夕飯はフィリピンの牛肉丼

17時からハイローラーに出場します。国内大会のタイトルホルダーや海外で活躍してる日本人プレイヤーがひしめく激戦必至のトーナメントです。

 

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バイイン10万ペソ(20万円)!

左隣にはWSOPで日本人女性初FT進出という快挙を成し遂げたRuiko Mamiyaさん、右隣にはGacktさんの音楽プロデューサーを務める鮫島巧さん、その3つ右にはSPADIEという国内大規模ポーカー大会の13期チャンプ…、といったハイローラーならではの鮫ばかりのテーブルに放り込まれました。

この時はかなりうまく立ち回り中盤まで善戦、2回目のブレイクまでほぼアベレージを維持してたものの、レイトレジスト(受付終了間際)で入って即ダブルアップ(オールイン勝負に勝ちチップが倍になること)した欧米系プレイヤーのオープンにAJoでオールインスチールを仕掛けたら88でコールされ、またしてもジャンケンに負け一撃敗退になりました。

 

目の前でショートスタックがダブルアップしたのを見て焦ってしまい完全にオーバープレイしてしまいました、ポジションがあったので普通にポストフロップをやれば88なら降ろせたかもしれない…降ろせなくても破滅するところまではいかなかったので本当にもったいなかったです。悔いの残る敗戦となりました。

 

この日も朝の3時くらいまでキャッシュで遊びました。最後はフロップ3枚ダイヤのレイズオールインに1枚ダイヤのフロップストレートでコールしてしまい普通にフロップフラッシュ出てきて捲り目もなくそのまま飛び。フィッシュ!部屋に帰り不貞寝。

 

11月4日(月)

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最終日、最後の戦い6-max

6人テーブルとはいえ、WSOPブレスレットホルダーである中井孝浩さんが同卓しており、かなり厳しい戦いが予想されました。というのも、私は国内大会で以前彼と同卓したことがあり、その時は中井さんのブラフ3betやブラフチェックレイズにさんざん苦しめられたからです。

 

pokershinbun.com

 

ゲーム中盤、幸運にも私にAA(プリフロップにおける最強ハンド)が配られました。私の右隣がオープンベット、AA持ってたら普通は3-BETするところですがアグレッションの高い中井さんにポジションを取られているためあえてコール止め(もちろん中井さんが3-BETしたら4-BETオールインを返すつもりでした。これをニューヨークバックレイズといいます)。中井さんフォールドで右隣とヘッズアップ。フロップはK・Q・5。右隣はチェック。私はベット。それを受けて右隣は間髪入れずにレイズしてきました。これは参った!

 

最初にチェックしておきながら他のプレイヤーがベットしてきたらレイズを返すアクションをチェックレイズと言います。通常強いハンドを持っていたらベットしていくのが正攻法ですが、あまりにも強すぎるハンドを持っている場合は相手に打たせてから倍額以上を上乗せするのが利益的なプレイとなります。つまり、この場合予想される相手のハンドはKQなどの2ペア、あるいはQQや55を持って3カードを引いていることが考えられます。AAは強いようで弱い。どうする?「コール」私は渋々コールしました。2ペアならまだこちらにもまくり目があるし、JTなどのストレートドローでブラフレイズしている可能性もあるからです。ターンはラグ(自分にも相手にも無関係そうなカード)、チェックチェック。リバーは5。もし右隣がKQを持っていたとしてもこの時点で私が捲ったことになります(KとQの2ペアよりAと5の2ペアの方が強い)。右隣チェック、私はベット、右隣フォールド。結果としてあのチェックレイズはブラフだったようです。まさか私がAAを持ってるとは夢にも思わず降ろせると判断しブラフベットしてきたのでしょう。プリフロップでのAAコール止めがブラフレイズを誘って思わぬ利益となり、このワンプレーで卓のチップリーダー(チップを一番持っている人。略してチップリ)に躍り出ました。

 

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4度目の正直、この日は快調にチップを増やす

 

そしてATで私がオープンレイズ、右隣がコールしヘッズアップ、フロップがT・8・7というボードで私がベットしたら右隣がチェックレイズオールインを仕掛けてきました。今度は先ほどと違い全額勝負、判断を誤れば大量のチップを失います。私にはT(10)のワンペアとAのキッカーがありますが、万が一にも相手がJ9を持っていた場合は相手のストレートに対して捲り目がありません。さあどうする?

 

「コール」長考の末に私はコールしました。もし相手が一発でストレートを引いていたなら、いきなりオールインを仕掛けて私を降ろさないだろう、と読んだからです。私が予想する相手のハンドは「T9」「99」「98」などのストレートドローのついたワンペアで、それらに対し私のATは現状で勝ってるからコールできるという読みです。

 

結果、ショーダウンで相手が見せたカードはQTでした。私と同じ10のワンペアですが、キッカーの差(A>Q)で私が勝っています。かなりしんどい状況でしたが、結果としてはナイスコールでした!相手のブラフを見破ってそれほど強くないハンドでコールすることをブラフキャッチといいます。私は二度にわたるブラフキャッチで大量得点を叩きました。今日はいけそうだ!

 

同卓のプレイヤーが一人とび、二人とび、卓移動しても生き残り続け、気が付けば参加者116人のうち残り17人になってました。この時点で6-maxにおける賞金獲得(インマネ)が決定!4回目の挑戦で初インマネです、わざわざフィリピンまで来たかいがありました。やった!嬉しい!

 

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あとは一つでも上の順位を目指すだけ

画面左側に賞金額が掲示されてます。1位74万ペソ、2位50万ペソ、3位32万ペソ…当然のことながら少しでも順位が上がる方が獲得賞金額が高くなります。私は勝負ハンド以外はプリフロップでフォールド、勝負ハンドが入ったらプリフロップでオールインする戦略(プッシュオアフォールド)に切り替えて粘り続けました。最後は残り9人でQToによるオールインがセカンドチップリのK3sに捕まってボードに特に何も落ちずそのまま終了、9位入賞でトーナメントを終えました。

 

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9位入賞の証。これをトーナメントの受付に持っていくと賞金74700ペソ分のチップが貰える

…というわけで私の初海外トーナメント参加の成果は、4トーナメント中1インマネとなりました。普通に参加してたら獲得賞金よりも払ったバイインの方が高く、収支はマイナスなのですが、国内大会のプライズでバイイン額を賄っているので、海外でしか使えないプライズを現金化したと考えれば、キャッシュも含め純利35万円なのでまずまずの結果なのではないでしょうか…。

 

MOPTは見知った日本人プレイヤーも多く、大人の遠足みたいでとても楽しかったです。また国内の大会でプライズを得たら、また海外の大会に挑戦しようと思ってます。

 

(…とか言ってたら翌週にあったSPADIEという国内大会で参加者458人中7位で入賞しちゃいました。プライズもらったのでまた行くかも。不定期で続く)