2017年7月19日、何の日かご存知でしょうか?ご存知ないですか。そうですか。実はその日は、俺の持っている最終ロットのヤマザキナビスコ・リッツの賞味期限です。
…どうやらまだピンと来てない方がいらっしゃいますね。いいでしょう。これの意味するところはつまり、人類最後のリッツパーティの開催期限が迫ってる、ということです。
…ここまで話しても「はあ?」みたいなリアクションがくる世界にね、俺は正直言って失望してるんです。小さい頃からずっとリッツパーティーに憧れていて、でも一度もリッツパーティーを開催することもなくヤマザキナビスコのリッツが終売になった無念、お前らに分かるか?いや、分からんでもいい!とにかく、2017年7月19日がリミットなんです!ヤマザキナビスコが品質保証してる7月19日を過ぎると、それ以降にそのリッツでパーティーしたところで非公式ですから。闇リッツパーティーですから。それはかつてリッツと呼ばれた、別の物体ですから。俺はちゃんと、メーカーが公式に、味の品質保証をした7月19日までに、リッツパーティーをしたいんです。そして、俺は確かにリッツパーティをやったんだ、やりきったんだ…というこの時代に生きた証が欲しいんです。
で、ここまで書いたらどうせ小賢しい輩が言うんですよ、「ヤマザキリッツが終売になるだけで、リッツは普通に売ってるじゃん」って。もうね、全然分かってない。全然分かってないですよ、この状況を。ヤマザキリッツが失われた時代における、リッツパーティとは何か、ということについて、一度たりとも考えたことのない人の発言ですよ。
いいですか。これはね、戦争なんです。南北朝時代なんです。孝明天皇の北朝と後醍醐天皇の南朝、どちらに正統性があるかっていう話と同じなんです。きわめて政治的な話になってしまうんです。ヤマザキ・ルヴァンとモンデリーズ・リッツ、どちらが正統か?リッツパーティーを開催する前にまずこの辺の思想チェックをしなくてはならない時代なんです。
結論から言うと、俺はヤマザキ・ルヴァンを正統な後継だと思っています。確かに、リッツをつくった本家はモンデリーズですよ。でも、日本において、リッツパーティーの価値を高めたのは間違いなくヤマザキナビスコの功績なんです。俺の憧れたリッツパーティとは、ヤマザキナビスコが生み出したものなんです。そして、ヤマザキリッツとモンデリーズリッツ、食べ比べたことあります?薄いでしょ?モンデリーズリッツ、薄いんです。ちゃんと成分表示みました?かつてのリッツに入ってなかった大豆が入ってるんです。名前も見かけもかつてのリッツですが、中身は別物なんです。ヤマザキルヴァンはね、味はかつてのリッツにとても近いんです。形は違う、名前も違う、でも味はヤマザキリッツであるヤマザキルヴァン。形は同じ、名前も同じ、でも中身は違うモンデリーズリッツ。どっちが正統な後継だと思いますか?
ここまでちゃんと分かった上で、なおモンデリーズリッツを正統な後継に推すというのならいいんです。でもね、話を戻すと、「ヤマザキリッツが終売になるだけで、リッツは普通に売ってるじゃん」なんて軽く言う奴はね、もうね、その辺のこと全く考えずに言ってる訳なんですよ。北朝と南朝、どっちが正統かって聞いたら何も考えずに北朝っていうタイプなんです、この手の手合いは。後醍醐天皇が退位してないのに足利尊氏が勝手に孝明天皇を立てただけなのだから、南朝が正統に決まってるじゃねえか!戦で勝ったからとか、京の御所にいたからとか、そんな見かけ上の事象に騙されるんじゃない!
…いま、「決まってるじゃねえか」などと断定口調で書いてしまいましたが、決まってるわけではありません。北朝史観の人の言い分もわかります。この世界には真実や正義が無数にあるので、なにが真実でなにが正しいのか、皆目見当がつきません。自分は映画「もののけ姫」が好きなのですが、ラストシーンが特に印象的で好きです。
「アシタカは好きだ。でも人間を許すことはできない」
「それでもいい。サンは森で、私はタタラ場で暮らそう。共に生きよう」
そうなのです、立場が違えば永遠に交わることができない…という諦念とともに、それでも共に共存して生きていかねばならない、という力強い意志が描かれています。
南北朝時代は結局56年続きました。きのこの山とたけのこの里の戦は、いまだ収束の気配をみせません。そしてヤマザキルヴァンとモンデリーズリッツの戦まで始まってしまいました。もう、あの頃のように、気軽にリッツパーティーは開けないんです。リッツとは何か、という問いから始めてしまうと、もうそれだけで日本中を真っ二つに割ってしまうんです…。しかし、そんな二つの勢力に分かれてしまったとしても、我々は共に生きていくという苦難の道を生きていかねばなりません。
これは、人類最後のリッツパーティ。モンデリーズ派のあなたとは、もうこうやって笑ってリッツパーティを開くことはできないんだね。そうよ、だからせめて、最後のリッツパーティを楽しみましょう…サンキュー、リッツ。
「「「サンキュー、リッツ」」」
…途中から俺の妄想になってしまったが、要するに来るべき日のための買いだめした俺のヤマザキリッツの在庫を放出して友人たちとリッツパーティーをした、来るべき日が来た、という話である。
でまあこの手の記事だと、「美味しかったディップレシピ10選」みたいなのやりたくなりますけど、なんせこれは人類最後のリッツパーティですので。レシピ書いたって再現性ないので書きません。もう人類最後のリッツパーティーは終わっちゃってますから。だからここからは、人類最後のリッツパーティーの証としての写真を提示していきますので、人類最後のリッツパーティーはこのようにして行われた、ということだけ把握していただければと思います。
強いて格言めいた教訓を言うのであれば、マヨネーズ最強。修羅場をくぐったリッツパーティーピープルなら、マヨさえあれば100種類ぐらいのディップを生み出せる。
ひとつ俺が失敗したと思ったのが、人生最初で最後のリッツパーティーだったので、気合が入りすぎて俺の秘蔵のニッカの限定酒、ピーティー&ソルティとウッディ&バニリックを持って行ってしまったことである。余市蒸留所でしか買えない高級酒で、新千歳空港で飲もうとすると1ショット1800円する。しかしですね、ヤマザキナビスコのリッツパーティーなのだから、ここは奇をてらわずにサントリーの山崎にするべきだったのだ…。事実、山崎の方が美味しいと言われました。ですよね…変なクセあるし…。完全に失敗だった。
どっちが旧リッツでどっちが新リッツか見分けられればたいしたもの。右が旧リッツです。焼き色が濃いのが特徴。豆な。