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上野の魔女はいかにして魔力を駆使しお菓子をせしめるようになったか

ハロウィンパレードって渋谷や川崎だけでなく上野御徒町でもやってるんだね。知らなかった。

 

ueno-halloween.com

 

せっかく娘が歩けるようになったのでどうせなら二歳半の娘と一緒に参加したい。そのぐらいの軽い気持ちだった。しかしそれはとんでもなく苦難を伴う道だった。結論から言うと、仮装パレードよりも上野御徒町の方々でお菓子が貰えるトリックオアトリートの方が面白かった。俺はいつのまにかキュウべえになっており、娘は無事に成長をとげ魔女になった。なんだかよく分からないがそういうことだ。

 

第一話 魔女、覚醒せず

浅草橋の駅前のシモジマは季節ごとのディスプレイ商品を多数揃えている店であり、毎年この時期になると店頭はハロウィングッズで溢れかえっている。毎年「楽しそうだなー」と思いながら通り過ぎるだけだった。が、今年は違う。娘と一緒に参加するのだ。俺は会社の昼休みを利用し(職場の近くなのだ)、娘の衣装を物色した。ただでさえ娘の服を選ぶのは楽しいのだが、ハロウィンの衣装を選ぶのはとんでもなく楽しい。2歳半の娘が何を着たってとんでもなく可愛いに決まってる。いや、親バカは分かってるのだが、でも娘が着ているところを想像すると溢れ出すニヤニヤをとめることができない。人間とは無力な生き物である。

…とはいえ、子供用の仮装衣装はたくさんあるが、だいたい6~10歳児向けにつくってあるので娘にジャストフィットする衣装というとなかなかない。俺は魔女の帽子とマントを選んだ。服ならすぐ着れなくなるが、帽子とマントなら体が一回り小さくても着れるしある程度大きくなってからも着れるからだ。

翌日の朝、さっそく買った衣装を娘に着せてみようとした。ところが「ヤダ!!キナイ!!!」と断固拒否!!魔女の帽子すらかぶろうとしない。ええ?ダメなの?スターマンの帽子はノリノリでかぶるくせに…基準がわからない…。

 

https://www.instagram.com/p/BGgYpJ-D5vc/

参考:お祭りでみんな祭り衣装を着てる中ひとりスターマンの帽子をノリノリでかぶる娘

 

ここで強引に着せてしまってはトラウマになるかもしれない。おそらく魔女を見慣れてないから魔女の衣装に拒否反応をしめしてるだけなのだ。今日は木曜日。パレードは二日後。その時までに魔女として覚醒してくれればいい。すっかり気分はまどマギキュウべえである。

 

―――魔女の衣装を着れば超絶カワイイの間違いないのに、僕はキミがなぜ魔女になることを拒否するのか、皆目見当がつかないんだ。二歳児というのは不合理な生き物だね―――

 

第二話 魔女の目覚め

翌日の夜、仕事から帰ると娘は風呂上りであとはもう寝るだけという状態だった。チャンスだ。娘は朝が一番機嫌が悪く、寝る前が一番上機嫌なのである。俺は娘に言った。「明日はハロウィンだよ」「はろいん?」「ハロウィンはね、みんながお菓子をいーっぱいくれるんだよ、お菓子ほしいでしょ?」「おかし、ほしい」「なら明日帽子をかぶってお菓子もらおうね、帽子をかぶってないとお菓子もらえないからね、分かった?」「わかった」

 

―――嘘は言っていないよ。ただ、己の目的を達成するために伝えるべき情報を取捨選択はしたけどね―――

 

もはや俺の目的はすでに払い込んでしまった参加チケット前売り2000円を無駄にしないことになっていた。お菓子が貰えるのは嘘ではない。上野御徒町の協賛店舗で期間中「トリックオアトリート」の合言葉を言えばお菓子をくれるのだ。店の数は30ほどもある。俺は仮装パレードをメインに考えていたのだが、こうなったらお菓子で娘を釣るしかない。

https://www.instagram.com/p/BMGzn0HhYDI/

お菓子で釣れた娘

しつこく言い含めたせいで帽子をかぶってくれた。良かった。これで明日は大丈夫だ。

 

第三話 魔女、契約破棄

 さて上野ハロウィン当日である。受付は上野公園噴水広場前で13時まで。パレードは14時からとなっている。12時に家を出ればいい。早めの昼食をすませ、衣装合わせである。まずは俺から。

https://www.instagram.com/p/BMIaD8NhgsP/

 

説明が必要かもしれない。怪物くんのドラキュラのつもりである。ただ、シルクハットがシモジマで売ってなかったので、説明しないと分かんない感じになってしまった。ちょうど声優の肝付兼太さんが亡くなったニュースが流れた頃だったので、追悼の意でコスプレ、いわば追悼コスプレである。

しかしこれが、というかヒゲがよくなかったのかもしれない。娘は俺の顔を見るなり、今まで見たことのない怖がりっぷりで奥さんの膝に抱き着いた。「やだ。おでかけ、しない!」エーッ!!今になってそんな!あと2時間でパレードだというのに!っていうか今にも泣きそうになってるんですけど!!「行けばお菓子貰えるよ。お菓子欲しいよね?」「おかし、いらない!」エーッ!!参った。まさかお菓子すら拒否するとは思わなかった。昨日の夜、お菓子が欲しいから行くっていったのに!

 

―――まいったな。一度合意した契約を翌日一方的に破棄されるなんて、僕にはまるで理解できないよ。二歳児の潜在能力は途方もないね。しかし僕に残された時間はもう少ないんだ。多少卑怯な手を使ってでも、君には魔女になってもらうよ―――

 

第四話 上野の魔女、降臨

結局もの凄い勢いで顔を洗いヒゲを落としマントを外した。ただのスーツ姿なので普段会社へ行く格好と一緒である。「ほら、大丈夫。大丈夫でしょ?」「……」「おでかけ、しよ?」「……」疑心暗鬼な娘をなんとかなだめすかせて上野公園行きのバスにのった。集合は上野公園噴水前広場。上野公園に入ると大量のドングリが落ちていて、それを見た娘のテンションもあがった。「どんぐり、いっぱい、あるヨォー!」流れがきてる!これは案外すんなりいくかも…。

しかしハロウィンパレードの受付付近でジェイソンだの死体だののコスプレしてる集団がとぐろをまいているのを目にした娘はテンションがみるみる落ち、顔から表情が消えた。ヤバイ。俺は受付の待機列に並び、その間一生懸命娘を諭した。「今日はみんな変身する日なんだよ。今日は娘ちゃんは魔女に変身するの。変身したら魔法が使えるからね。魔法使えばみんなお菓子をくれるから。娘ちゃんも頑張って変身してお菓子をもらおうね。わかった?」「…わかった」そして受付をすませ、娘にマントを着せる。「……ヤダ。きない」「ほら、みんなも着てるよ?娘ちゃんもがんばろ?」そして…とうとう着たーーーー!上野の魔女降臨である。ほらほらほら。文句なくかわいいじゃないですか!!!!!!!!!!

 

 

顔はこわばってるけど!

―――大丈夫。怖くないよ。君のお菓子がほしいという祈りは間違いなく遂げられる―――

 

第五話 上野の魔女、覚醒

パレードまで時間があるのでお菓子をもらいにいくことにする。上野御徒町界隈で30箇所ぐらいの店でトリックオアトリートをやってるのだ。手始めに一番近い上野パーキングセンターへ。やってるやってる。駐車場の受付に子供たちが群がっていた。さあ、上野の魔女よ、お菓子ちょうだいと言うんだ!さあ!「………」恥ずかしがって言わなかった。でもちゃんとお菓子を貰えたよ。良かったね。

 

 

これに味をしめた俺と娘は、上野の店を次々に襲撃していった。じゅらく、串揚げじゅらく、ヤマシロ屋、COFFEEリーム、上野マルイ…。娘は相変わらず知らない人相手に緊張してるようだったが、お菓子を貰えるのはやはり嬉しいらしく、店員からせしめたお菓子を次々に俺の手提げに放り込んでは「つぎはー?」と催促するのである。主役はもちろん娘だが、付き添いの俺すら楽しくなってくる。行く先々でホールドアップがキマるかのような非日常感!!泥棒映画の主人公になった気分である。これは楽しい!というか、名前は知ってても普段入ったことないような店に変な格好で入るなり「お菓子下さい」ってヤバくないですか???他の日だったら通報されるようなことを、この日に限っては公然と行えるのすげー楽しい。楽しすぎる。店員は娘の魔力にかかったようにお菓子を差し出すし、俺も娘の魔力にかかった使い魔のように娘をあちこちに肩車で連れまわした。そして娘も場数を踏むたびにだんだんこの空気になれていった。これは娘の成長の物語でもあるのだ…。

 

 

この後パレードだったが、進行がグダグダすぎて間延びしてしまった。パレードの出発は14時ということだったが、出発前に1グループずつの写真撮影があり1時間ぐらいかかるので待ち過ぎでテンションがたおちである。あれなんとかならないかな…。大人なら1時間待てるが、子供が1時間待ちに耐えるのはほんとしんどいことだと思う。で、すごい時間待った割にはパレードすぐ終わっちゃうのがなんか…。それよりもトリックオアトリートで得られる高揚感の方がよほど楽しい。御徒町の駅前広場でパレード解散した後は再びトリックオアトリートで御徒町の店をかたっぱしから襲撃していく。松坂屋風月堂、ABABの前のクレープ屋、亀井堂、伊豆栄、あんみつみはし…。この時点で日が暮れたので引き上げることにした。回った店舗は全体の2/3くらい。それでこの収穫なのだから大満足である。

 

 

娘もいい経験をしたようだ。最初のもの凄く戸惑ってる様子を思い返せば、終盤はものすごい成長をとげ手慣れた様子でお菓子をせしめていった。でも最後まで「お菓子下さい」は言えなかったので、来年までには言えるようにしたい。手始めに回転寿司屋で物怖じせず「たまごください」を言えるようにならなければ。

 

というわけで、パレードはイマイチだがトリックオアトリートがとんでもなく楽しい上野ハロウィン、来年はもうちょっと早い時間から襲撃して全店舗を制圧したい。

BioLiteキャンプストーブの焚火はとても楽しい

子供のいる夫婦にとって、買物とは政治である。2年前に娘が生まれてからというもの、すべての行動に娘ファーストを強いられるようになった。そんな状況下において、己の趣味にかける予算を確保するには当然のように説明責任が生じる。俺は写真を撮るのが好きで娘が生まれる前はカメラとレンズにお金をぶっこんできたが、もはやこの状況で新しい機材を増やすのは事実上不可能である。あっという間に成長する娘にあわせて必要な物を購入する事の重要性に比べたら、例えばEF50mmF1.2と50mmF1.8のボケ味の違いなんてクソどうでもいい話であり、レンズなんて買う金があったら他に買うべきものがあるだろう、となるわけである。正論である。これを論破するにはどうすればいいか。俺の見立てでは不可能に近い。使い切れないほどの収入を得ている人なら話は別だが、少なくとも俺の収入は有限である。奥さんにも無理をお願いしている手前、自分の趣味に大枚はたくなんてことできるわけない。ならばどうするか。発想を変える必要がある。予算が得やすいものを趣味にすればいいのだ。どう考えても奥さんの理解を得られにくい趣味にお金をかけるのはやめ、奥さんの理解を得られやすい、すなわち予算を獲得しやすいものを趣味にすればいいのである。

 

それは何か。アウトドアである。これは間違いない。万人にお勧めできる。なぜなら、何もない野外で生活を営むための全てのアウトドアグッズは、防災グッズにもなり得るからだ。己の趣味のために買ってるのではない、一家三人が災害にあったときに我が身を守るために防災グッズを買ってるのだ、という大義名分が成り立つのである。というわけで俺は奥さんを説き伏せ、念願のモンベルBioLiteキャンプストーブを買うことにした。

 

BioLite(バイオライト) キャンプストーブ ( POTアダプター ) 1824222

 

これはどこでも手軽に焚火ができるのみならず、焚火の熱源を利用して発電しファンを回すことにより燃焼効率が格段に上がる、おまけにその発電でUSB充電まで出来てしまうという画期的な代物である。発売当初からずっと欲しかったのだ。これがあれば、万一真冬に被災し電気ガスが止まるという状況下においてもスマホの充電が可能となり、刻一刻と変化する防災情報を効率的に収集することが可能になるのだ。決して己の私利私欲で買うのではない!「これがあればソロキャンプで焚火したり焼肉食べながらツイッターし放題ですぞデュフフ」などという俗な発想など一切ない!断じてない!あるわけないじゃないですか。俺はただ…みんなの命を守りたいだけなんだ…

 

ここで問題になるのが付属品である。実際にこのストーブを使って調理をするには当然フライパンなり金網なりを使用する必要があるのだが、モンベルはまたしても画期的な付属品を生み出してしまうのである。

 

BioLite(バイオライト) グリル 1824231

 

BioLite専用グリル。これで肉や魚を焼けば、落ちた油がストーブに集まり、それもまた焚火の火力として再利用できるのである。なんとよく考えられてあることか。欲しい。欲しいが8,900円もする。これただの鉄板と網ですよね?それで8,900円…足元みやがって限られた燃料を効率的に使える画期的な商品だと考えれば悪い投資ではない。思い切って買うことにした。

 

さて、そうとなればやらなければならないことがある。予行練習である。災害はいつ起きるとも限らない…明日にでも首都直下地震が起きたってなんら不思議ではないのだ。一刻も早くBioLiteストーブの充電機能を試す必要がある。そもそも素人が火を起こすのは大抵時間がかかるものなので、この時間を短縮するためにも焚火の練習をする必要があるのだ。繰り返すがこれは訓練である。決して「オニューのストーブでBBQだぜグヘヘ」などと思ってる訳では!断じて!ない!…すみません、言いすぎました。ちょっとは思ってます。でも、これこそが趣味と実益を兼ねるというものであり、サバイバルスキルを磨いといて損はない。むしろ積極的に磨いていくべきである。

 

というわけで俺は2歳5か月の娘と一緒にBBQをすることにした。娘を連れてくのは(1)俺は娘と接する機会が土日ぐらいしかないのでここぞとばかりに娘と遊びたい(2)奥さんは平日は娘とつきっきりなのでたまには一人の時間がほしい(3)娘は電車が大好きなのでいつも電車のお出かけを要求してる、という3人の利害が一致したものである。

 

目指す先は三崎口の三戸浜海岸にした。都内のBBQ場に行けばいいじゃない、と思うかもしれないが、大概の都内BBQ場は予約が必要である。そして土日は予約でびっちりである。予約確保するには数か月前の予約開始日に予約しないとほぼ取れないのだ。大人数で日程決めてBBQやるならそれでも良いかもしれないが、思い立った時にふらっとソロBBQをするのは不可能だ。日ごろの束縛された生活から解放されたくて野外に行くのに、なぜ予約で日時も場所も縛られなくてはならないのだろうか?せめて野外でぐらい自由にいさせてほしい。ならば予約不要でBBQ可能な場所を自分で探すしかない。

 

三崎口の三戸浜海岸は予約不要かつ電車で行くことが出来る数少ないBBQ可能な場所の一つである。この「電車で行くことができる」というのも結構な重要ポイントである。つまり端的に言えばBBQで運転の心配などせず酒が飲めるということだ。酒が飲めないソロBBQなんて楽しくもなんともない。潮風を浴び、沈みゆく夕日と焚火を見ながらウィスキーをあおる。最高の贅沢ではないか。

 

ただし、電車移動でソロBBQをこなすにもそれなりに頭を悩ませる必要である。バックパックに積める荷物に限界があるからだ。極限まで荷物を減らす必要がある。現地に洗い場はない。全てのゴミは持ち帰る必要がある。俺はそれほど体力がある方ではない。以上のことから、現地調達できるものは現地で調達し、容器類などは紙製にし焼却処分できるようにするなどの工夫が必要だ。準備の段階からBBQは始まっている。いろいろ考えた末、最終的にはこの装備にした

 

(1)BioLiteストーブ

(2)BioLiteグリル

(3)コッヘル…これもモンベル製。中にもう一つコッヘルが入ってる。煮炊きできるし皿にもなる

(4)紙皿…不要かもしれないがコッヘルで調理してるとき皿が無くなると嫌なので。最後に燃やしてしまえば洗い物不要である

(5)手斧…燃やす燃料(木の枝・流木など)は現地調達で荷物を減らす。上級者っぽいしBioLiteストーブの醍醐味だ

(6)鋸…手斧だけで十分かとも思ったが太い流木を薪にするにはこれも必要かと持っていくことに

(7)燃料…現地調達できなかった場合を考え最低限度の燃料を持っていくことにした。割りばしやカマボコ板、木の棒など。普段の生活で出たごみである

(8)着火剤…極力使いたくないが、万一火がつかなくて企画が台無しになったら嫌なので

(9)うちわ、ライター…火を起こすときのマストアイテム。うちわはいざとなったら燃やせる竹製のものにした

(10)割りばし…一人BBQにトングなぞ不要。火おこしから食事まで全てこれ一本で対応できる。当然終わったら焼却処分するため紙袋入りのもの

(11)虫よけスプレー…子どもは気づくと虫刺されされるので必須

(12)折り畳みイス…なくてもいいかもしれないが、海辺でまったり火を起こすにはあったほうがいいと思ったので

(13)娘の着替え、おむつ、母子手帳…娘と出かけるときの必須アイテム。

(14)エコバック…中にビニール袋やタオルなどが入ってる

(15)調理用バナナ…最近見たNHKスペシャルの「最後のイゾラド」においてイゾラド(アマゾンの秘境にすむ現代文明から隔絶された先住民族)が焼いたバナナを食べていて俺も一度食べてみたかったから。近所のハナマサで一房150円

 

www.nhk.or.jp

 

…「最低限度」と言ってる割にはいろいろな事態を想定しけっこうな荷物になってしまった。当然のように不要な装備もあるだろう。実際に何が不要だったかは本稿の最後で答え合わせをしたい。ちなみに調理用バナナ以外の食材はすべて現地調達するつもりである。せっかく三崎に行くのだから旬の食材を現地で調達したほうが絶対おいしいし楽しいはずだ。

 

 

パッキングを終えた後で酒を入れ忘れたことに気付いたが、もう一度開けて写真を撮りなおす気力がなかったので別撮りで勘弁してほしい。ビンはブラックニッカクリア(180mlがコンビニで300円くらいで売ってる。良心的)、中身は全く別のウィスキーである。ブラックニッカクリアのビンはスキットルとして使え、いざとなったら旅先でリサイクルゴミとして捨てれるのが良い。ウィスキー党アウトドアラーのマストアイテムだと断言できる。サントリー角も同じサイズでコンビニ売りしてるがこちらは500円以上する。200円の差というとたいしたことないように感じるが、率で言うと1.7倍である。高い。たぶんあの亀甲紋の瓶代がかなりかかるのではないだろうか。捨てる前提だとスキットルとして角を買うのはもったいない。ブラックニッカクリアおすすめである。

 

電車でおでかけするのが大好きな娘。「赤い電車のるよォー」とテンションMAX。 

 

三崎口駅までは最寄りの駅から電車で一本である。三崎口。それは京急ユーザーにとっての約束の地、毎日通勤電車に揺られながら「このまま逆方向の電車に乗って全てのことから逃げ出したい…」と皆が妄想するであろう京急の終着地である。駅の改札を抜けると土産物売り場がある。食材は現地調達なので昼飯には何がよいのか物色する。

ハマグリ1,000円。おいしそう。砂だし済みなのがありがたい。そのまま網焼きで食べるだけで最高の奴だ。それと三崎のマグロ

網焼きにするつもりでぶつ切り500円を選んだら店のおばちゃんに「網焼きにするなら脂ののったマグロのほほ肉の方が絶対いいよ!」と言われたので土地の人のお薦めに従いほほ肉にした。800円。

メインの食材は決まったが、どちらも娘が食べたことのない食材だったので、娘が食べないときのことも考え三崎口のコンビニで食パンを買った。キャンプストーブでトーストすれば間違いなく美味しくなる。あとマグロの味付け用に携帯用醤油。ふたつで300円ちょっと。完璧である。

三崎口駅から三戸浜海岸までは1.7km。歩いて20分くらいの距離である。娘を肩車しながら、広大な三浦大根畑の中に通る道を歩いていく。のどかだ。遠くの空でとんびが飛んでる。「大根いっぱいだね」「だいこん、いっぱい、あるよォ」「とんびが飛んでるね」「とんび、とんでるよォ」俺は歩きながら道路に落ちてる木の枝をみつけたらすかさず拾う。持参した木材だけじゃ当然足りない。美味しいほほ肉ステーキを焼くためにもここで必死にどれだけ木材をかき集められるかが生命線になってくる。木材が足りなくてほほ肉ステーキ焼けませんでしたとかやめてくれよマジで…。

結果として海岸につくまでに集まった木の枝はこの通りとなった。想定以上であった。家から木材を持っていく必要全くなかった。おまけに砂浜にも大量の葦や木の枝が打ち上げられており、道すがらかき集める必要すらなかった。砂浜についたらその辺に落ちている枝を拾うだけで事足りるのだった。これはしかし行ってみないと分からないことではあるのだが…。この記事を読んで三戸浜海岸でBioLiteストーブ使うつもりであれば、燃料持参の必要性は全くないと断言できる。次行くときは燃料持たずに行こう…次行くか分からないけど…。

椅子をくみたてて娘のくつろぎスペースを確保。さて、ここからが本番である。BioLiteキャンプストーブに割りばしや木の枝を何本か入れる。ライターで点火する。割りばしなんか簡単に火がつくかと思ったが、海風のせいでライターの火がすぐ消える。仕方ない。着火剤だ。実はここに来るまでの電車の中で初めてBioLiteキャンプストーブの取り扱い説明書を読んだのだが、「着火剤は使用しないでください」と思いっきり書いてあった。完全に失敗した。事前に読んでくればよかった。俺、人生のネタバレは必要ないと思ってる派だから…手探りで経験値上げるのが楽しい派だからさ…。まあ過ぎてしまったことは仕方ない。むしろこのような不測の事態こそ俺のアドリブ力が鍛えられる。よくよく考えればストーブの炉内で着火剤を使わなければ問題ないはずだ。

炉外で割りばしを着火剤で燃やしある程度火が安定したら炉内に放り込む作戦でいくことにする。俺はストーブから割りばし1本を取り出し先端にジェル状の着火剤を塗りライターで火にかけた。ジリジリと音を立てながら割りばしが燃え出した。これでいい。完全にわりばしが延焼したのを見計らってストーブ内に投下する。火は他の割りばしや木の枝に燃え広がった。計算通りだ。が、そこはしょせん割りばしと木の枝。あっというまに燃え尽きてしまうのである。木材を追加投入するもうまく燃え広がらずに種火が消えようとしていた。ここまでか…。諦めかけたそのときである。フィィィィィィィィィン!!突如としてけたたましく鳴り響くファンの音。急に火柱が立ちあっというまに全ての木材が燃え上がった。

うおおおお!なんだこりゃ。そうか、最初の種火でファンが回るだけの電力が充電されこのタイミングでファンが回ったのか…。まさに救世主登場のようなすごいタイミングだった。ファンが回り出してからのBioLiteキャンプストーブの威力は圧巻である。くべる木材すべて一瞬で火がつき次の瞬間には火柱がたつ。あははははは。思わず笑っちゃうぐらい楽しい。もうこの時点で9割方満足しちゃってる。なんか自分の焚火の技術が上がったかのような錯覚を覚える。いい。すごくいい。BioLiteキャンプストーブ、オススメです。BBQ経験者なら誰でも分かるだろうが、最初に火を起こすのがすごく大変なのである。平時ですら大変なのだから、もし被災した立場で冷静に火なんて起こせるだろうか?着火剤がたくさんあればいいが、もしなければ…。そんな場合でも、焚火技術が低くても簡単に火がおこせるBioLiteキャンプストーブ。最初は発電機能目当てで購入したが、ここまで簡単に火が起こせるだけで防災用品として十分購入に値する。

火が安定したのでグリルを設置することにする。傾斜地の砂浜なので微妙に角度がついてしまう。まあいい。まずはホイルで巻いた調理用バナナを投下する。そしてハマグリ。ファンのおかげで木の枝はあっという間に燃え尽きてしまう。けっこうせわしなく燃料を火にくべる。ちゃんとした薪ならもうちょっと時間が持つのになあ、と思わなくもない。が、本日は実戦形式の訓練。仕方ない。

パッカーン。さっそくハマグリが開いた。貝の中で塩水がふつふつとゆだってる。うまそー。いただきます。うめえ。最高。ウィスキーをあおる。あはははは。最高。最高だこれ。やばい。やばいぞ。苦労してここまで来た甲斐があった。

俺はこの感動を娘にも味わってほしくてハマグリを与えた。「…にが」吐き出してしまった。苦いらしい。改めて食べてみたら、確かに海水のミネラル分のせいか微妙な苦みがあるかも。水で洗って無塩バターで焼けば食べたかもしれない。まあこの展開は想定の範囲内である。そんなときのための焼きバナナである。娘はバナナ大好きである。きっと娘もこのバナナを食べれば満足してくれるはず…あれ。剥けない。なんだこれ。調理用バナナ、見てくれは普通のバナナと一緒だが中身は完全な別物だった。嫌な予感がする。刃物を持ってこなかったので、ハマグリの殻をナイフがわりにしてようやく皮を剥いた。おお。ほっくりしててうまそうじゃないか。味見で一口。

…マズッ。なんだこれ。マズすぎる。火が通ってないのか、芯がある。マズい。外側は生のサツマイモっぽい触感。とにかくマズい。全てにおいて食える代物ではない。え?こんなにほっこりして焼き芋っぽさたっぷりなのになんでこんなにマズいの?まだ焼きが足りないってこと?俺は慌ててホイルをまき直し火にくべた。こんなことなら事前に調理用バナナの調理法を調べてくればよかった。俺のアドリブ体質が完全に裏目った格好である。俺はとんでもないものに手を出してしまった気がする…!

ここまで娘が食べれるようなまともな料理をひとつもつくってない俺。すいませんすいませんすいません。こんな時のために買った究極の安全パイであるところの食パンをトースト。さすがにこれは娘も満足し「おいし」を連発した。よかった。そうだろうそうだろう。娘よ、自分の起こした火でつくった料理を野外で食べるのはとんでもなく美味しいのだ。それが例え駅前のコンビニで買った食パンであってもだ。

 ここで本日のメインディッシュであるところのマグロのほほ肉を投入。本当は一緒に食パンをトーストしサンドにして食べる算段であったが、バナナがいまだに捌けないのでパンをトーストするスペースがない。完全に想定外である。

ステーキが焼きあがるまで、娘と波打ち際で遊んだ。波を追いかけっこしたり、浜辺で宝探しをしたり。俺はこの季節の海岸が好きだ。海水浴客はいない。静かな海。

焼きあがったほほ肉ステーキは絶品であった。まるで牛のフィレステーキのようである。が、娘は食べてくれない。こんな時のために、最初からずっと焼き続けたバナナ。今度こそ…美味しくなっていてくれ…!

…マズい。絶望的にマズい。なんだこれ。これだけ外側の皮が炭化してるのに中身まだ芯が残ってて固くて美味しくないとかあるの?? 俺が根本的に間違ってるの?イゾラドよりも明らかに文明の利器を使用してるのに食える代物じゃないってマジなの???

 

結局俺だけ美味しいものばかり食べ、娘に食べさせたのは食パン2枚である。なんだか申し訳ない気がしてきたので早々に引き払うことにした。はやく家に帰って母ちゃんの美味しい料理を食べようね。力不足でごめんよ。次回はお父ちゃんも美味しい料理つくれるように頑張るからね。

「海、楽しかった?」「たのしかた」「何が楽しかった?」「えっとねー、とりさん、とんでた」「あれはトンビって言うんだよ」「とんび、とんでたネー」

 

BioLiteグリルは蓋がついていて洗わなくても蓋すればバックパックに収められるので秀逸であった。キャンプストーブも同様に収納袋に収めるだけでよい。炉内はほぼ完全燃焼状態で炭すらほぼ残らない。残るのは灰だけである。これならBBQ場以外でも容易に使えるなと思った。

 

今回は残念ながらBioLiteキャンプストーブの充電機能を試す機会がなかったが、あの燃焼力を目の当たりにしただけで十分だった。一家に一台Bioliteストーブを備えておくべきだと思った。マジでなんでも燃える。災害への備えとしてはそれだけで十分。電気とガスが止まった状態を想定したら、BioLiteキャンプストーブはとても心強い。俺は着火剤を使用したが、普通に本や新聞紙やチラシがあれば素人でも火を起こせる代物だ。あとはおまけの機能としてスマホが充電できる。完璧じゃないか。皆もキャンプストーブ買って、訓練で必殺一人BBQやろうぜ!

 

さてここからは反省会である。持って行った荷物で不要だと思ったのは以下の通りである。

 

(2)BioLiteグリル…思っていたよりも不便だった。火力が強いのはストーブ円周部だけ。外側はほとんどグリルとしての用を成してなかった。これなら普通の網焼きグリルをストーブの真上に乗せるだけでよいのでは。今回焼いたのがほとんど脂が出る食材じゃなかったせいもあるかもしれないが、まあとにかく不便だった。この記事を読んでBioLiteキャンプストーブの購入を検討してる人に言いたい。グリルは必須ではない。とりあえずキャンプストーブを買ってグリルも欲しいなと思ったら買い足す感じで良いと思う。少なくとも俺は買う必要なかったと思ってる。

 

(5)手斧

(6)鋸…手斧や鋸が必要な木材なんてその辺に落ちていないのである。木の枝は手で簡単に折れる。完全に不要

 

(9)うちわBioLiteストーブにうちわは不要だった。種火があれば勝手に風をおこしてくれる

 

(12)折り畳みイス傾斜地の砂浜でイスにすわるとずぶずぶ沈み姿勢が安定しない、イスに座ってても微妙な体勢になるので全くくつろげないのである。常に緊張を強いられるので座ってても逆になんか疲れる。完全に裏目である。これなら砂浜に直に座り、替えのズボンを持ってきた方がはるかに賢い選択であった。クルマだったらいいかもしれないが、少なくともソロBBQで限られた荷物のリソースを割いてまで持っていく代物ではなかった

 

(15)調理用バナナ…というか未知の食材を持っていく際は必ず調理法を調べてからいくべき。俺からは以上です。

 

最後に余談だが、俺はBBQして帰る際は必ず自分たちのゴミ以外のゴミも目につくものは拾っていくようにしている。ゴミをそのまま捨てて帰るマナー悪い客のせいでBBQ可能な場所が禁止になるのを防ぐためでもある。俺は野口健さんのエベレストでの清掃活動をリスペクトしており、俺も自分でできる範囲内で可能な限りのゴミを拾うようにしてるのだ。正直めんどくさいが、これもアウトドア上級者の定め…と謎の上から目線を導入することにより継続的なボランティア清掃の実施が可能となる。皆さんもぜひ上級者ぶりをいかんなく発揮し、謎の上から目線で美化清掃やりましょう。

 



それどこ大賞「買い物」
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日々 日々

2歳4カ月の娘と、生れて初めて一緒に飛行機に乗り、札幌を旅行してきた。その旅行がとても素晴らしく楽しかったので、その思い出が色あせてしまわぬうちにここに記す。

これは俺にとってはただの旅行ではない。いままで自由にどこへでも行けたのが、娘が生れてからは原則的に「娘が行けないところには家族で行けない」のハンデを背負って生きることになったのだ。そのハンデを、娘の成長と親の忍耐で徐々に解除していくという作業を、ここ1年ずっと行ってきた。娘と初めて一緒に乗ったバス、娘と初めて一緒に乗る電車、娘と初めて行くファミレス…。しんどいことも多々あったが、全てが初めての体験であり楽しいものだった。娘の初体験は、俺にとっての初体験でもある。いつものバス、いつもの電車、いつものファミレスですら困難な障害であるとともに、それを娘とともにのりこえる体験はとても新鮮なものになるのだ。繰り返すが、これは僕にとってはただの旅行ではない。娘と初めて一緒に飛行機に乗って行く2泊3日の旅行である。現時点での娘の成長の集大成となるものだ。結論から言えば、多少のグズりはあったものの、娘は極めて落ち着きをたもち、この旅程を踏破してみせた。娘の成長を実感するともに、久しぶりに遠出し旅先で美味しいもの三昧の日々を送れてとても楽しかった。だから、この感動を記録しておきたい。傍からみればたいしたことはない旅行であるが、我々にとっては偉大な一歩なのだ。

我々はよく食べ、よく飲んだ。六花亭本店でお菓子、サッポロビール園でラム肉とビール、チェックインまでの待ち時間に喫茶店でビール、海鮮料理屋で魚とビール、狸小路とすすきのではしご酒、朝食ビュッフェで山盛りのいくら丼、電車に揺られながら小樽の鮨詰、余市蒸留所でウィスキー、狸小路で回転寿司とビール、朝食ビュッフェで山盛りの海鮮丼、千歳でカルビーの揚げたてポテチとカニいなり。こうやって書くとほんとに飲み食いしかしてない旅行だったなと思う。しかし娘が生まれるまで我々夫婦は週末の居酒屋で一緒に過ごす時間がささやかな幸せであった。もちろん娘が生まれてからはそんなことできなくなってしまったわけだけど、今回の旅行でかつての自分を少しだけ取り戻せた気がした。

前回の写真をあげてから3か月たったが、たった3か月の間に娘はずいぶんとたくさんの初体験をこなした。初めてのファミレス、初めての盆踊り、初めての野球観戦、初めてのラジオ体操、初めての表彰状、初めてのプール、初めての外泊…数えだしたらきりがない。不思議な感覚だ。もう俺の中では2週目の人生をやっている気がする。昔のファミコンゲームは、魔界村でもスパルタンXでもそうなのだが、一度ゲームをクリアした後の2週目は敵が強くなり難易度が格段に上がってるのだ。いまの娘と一緒に過ごす人生はまさにそんな感じである。昔は普通にできたことが、いまは大変難儀だし、あるいは出来なかったりする。しかし一度は自分が通った道だ。そして、娘は成長する。娘の成長とともにハンデをひとつづつ解除していく作業が、いまの俺にとってこの上ない喜びになっている。

日々 日々

娘が生まれて2年と1か月が経った。
この間、誇張でも何でもなく娘の写真しか撮ってない。
今年の正月にHDDがクラッシュした。娘が生まれてから一切の写真データが納まってるHDDである。
「いつでもプリントできるから」という慢心で撮りためる一方だったので、このHDDの喪失は文字通り全ての娘の写真の喪失を意味した。
これはあかん。
おれは必死になって業者をあたり、なんとか写真データだけを救ってもらうことができた。
けっこうな額を請求された。中古のLレンズが1本買えるぐらいの金額である。
それでも写真が戻ってきたのだから助かったというほかない。

そんなことがあったので、これからは娘の写真を積極的にアップしていこうと思った。
「化石を発掘するように、データを復元しました」と業者は言った。化石を発掘するように。
そうだ。ネットの海に写真を晒せば、たとえ自宅が火事で全焼しようが株式会社はてなが倒産しようが写真は発掘できるのだ。
そして日記を書こう。今は娘も俺になついてくれているが、いつか反抗期になり俺と口をきいてくれなくなる日がくるかもしれない。
そんなときに酒をちびり呷りながら、かつての幸せだった日々の思いでに浸れるように。







北漢山(プッカンサン)/韓国

日々



登ってきたぞ。韓国の山はそのほとんどが岩山なので、日本じゃあまり見られない景色が望める。





韓国に行ってきたのは先々週のことだ。僕の妹は韓国人のダンナと結婚し子供を一人もうけ、今はソウル郊外で暮らしている。馴れ初めは妹が日本の美容短大に通っていたころ、留学で同じ短大に通うダンナと知り合ったというわけだ。僕がそれまでに韓国に行ったのは妹の結婚式と子供の一歳の誕生日のとき(韓国では子供の一歳の誕生日を盛大にお祝いするのだ!)だけで、今回はおよそ5年ぶりぐらいに、純粋に観光として、妹の家に泊まりに行った。

とは言っても、市内の主な観光地はすでにそれまでの旅行で行っている。今回は観光地以外のところが見たいとリクエストした。それは例えば妹夫妻がふだん行くスーパーとか、ふだん遊ぶ場所とか、ふだん外食をする店とか…つまり、韓国の都市部に住む普通の人たちがふだんどんな暮らしをしているのかが僕は見たい、そうリクエストをした。