フラワーアレンジメントで甦る、正体不明の球体・ブリオン

LDKのマンションに住んでいる。うち一部屋は夫婦の寝室で、一部屋は物置部屋だ。4歳の娘は夫婦の寝室で我々と一緒に寝ているが、娘がもうすこし大きくなったら物置として使っている部屋を娘の部屋にするつもりである。だがその前にやらなければいけないことがある。そう、物置部屋にある多くの不要なものを捨てなければならない。ここ1年ぐらいずっとそのつもりで物を減らしてきた。しかし物が多すぎて一向に片付かない。それと、己のもったいない精神が強すぎて、なかなか捨てる踏ん切りがつかないのかもしれない。しかしこの場合の「いつか、なにかに使えるかもしれない」という思いはただの邪念である。その「いつか」が来るより先に娘に部屋を明け渡すときがくるのだ。残された時間はすくない。さっさと使いたい。ならばブログのネタとして使用することで、使い終わったら用済みということで心置きなく捨てられるのではないだろうか。例えばこれだ。

 

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え、なにこれ、と思うかもしれない。これは10年くらい前に買った泡盛の空き容器である。

 

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後ろから見るとこう。

 

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ラベルが張ってあるが、「上原酒造所」でぐぐってもこの泡盛の商品名は分からなかった。あいまいな記憶であるが、買ったときは「〇〇の女王」みたいな青いタスキがこのビンにかかっていたような気がする。知ってる方がいらっしゃいましたら教えてください。

 

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キャップをはずすとこうである。とりあえず季節の花を買ってきてこの瓶に活けることにした。

 

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6月といえばアジサイである。なかなかシュールな風情になった。インテリアとしても良いのではないだろうか。しかしこれ、どこかでみたことあるような…

 

 

 

あっ…

 

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冨樫義博HUNTER×HUNTER」第33巻より引用



 

 

!!! そう、ハンターハンターのブリオンに瓜二つなのだ。念のためハンターハンターを知らない方のために説明しておくと、ブリオンは暗黒大陸の五大災厄の一つであり、人類のリスクである。…この説明だけだと何のことやらよく分からないかもしれない。しかし読者だってブリオンのことはよく分かっていない。なにせ正体不明だし、そもそも30数巻ある物語のなかでブリオンはこの1コマにしか登場しないのだ。なので分からなくても大丈夫である。

 

 

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アジサイ以外の花でもブリオンになるだろうか、とトルコキキョウを活けてみた。完全にブリオンである。

 

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棚の上に飾ってみる。人類の五大災厄にもモダンリビングのインテリアとしての風情がただよってくるではないか。

 

 

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花以外でもブリオンになるだろうか、とブロッコリーを活けてみた。完全にブリオンである。

 

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しかしブロッコリーは茎が太いので穴の中には入らなかった。ブリオンというよりも天空の城ラピュタの方が近いかもしれない。

 

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ちなみに最初は捨てるつもりだったブリオンだが、こうやって遊んでるうちに情が湧いてしまい、なんだか捨てるのがかわいそうになってきた。花瓶として部屋に飾っておくのもわるくないのではないか…。

 

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と部屋にしばらく飾っておいたのだけど、娘が「おっぱいだ!おっぱいだ!おしり!おしり!」と異様に興奮するので教育上よろしくないと判断し、娘の目に触れないベランダの隅においてある次第である。謎の古代遺跡を守ることはできても、小さい子どものいる家庭を守るには不向きのようだ。

 

なので欲しい方がいらっしゃったら差し上げます。ブリオンを大切に使ってくれる方限定です。

 

※追記

その後、引き取り手は無事に決まりました。本当に花器として使っていただける(本気なのか…)ということなのでこちらも本望です。

ブックオフ100円ステッカー/アナログスタンプの遊び方

ブックオフの100円コーナーめぐりが好きである。自分の生活圏の秋葉原御徒町田原町錦糸町にあるブックオフを定期的に巡回するのを趣味としている。買うのはあくまで100円の古本のみ、である。そして100円で買った本は読んだら必ず古紙として資源ゴミに出す、再び古本市場に流さない、というのがマイルールである。そもそもブックオフで100円コーナーに並ぶ本は需要に対して供給が過多なので、だったら資源として再生した方が(地球規模で考えた場合)よいのでは、という個人的な信念に基づいている。なので100円の本を読んでは捨て、読んでは捨て、をけっこうな頻度で繰り返している。

 

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そのサイクルを繰り返しているうちに、どうせ捨てるなら遊んでから捨てようかな、という気になった。

 

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利根川先生を切り抜いてみる。

 

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裏に両面テープを張る。

 

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パソコンに張ってみる。

 

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悪魔的発想…!!!

 

良い。すごく良い。この躍動感。そして口元の笑み。まるでギリシャ軍の勝利を知らせるためマラトンからアテネまで走る兵士のよう。これが税込108円で買える利根川オリジナルステッカーである。

 

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何かに使えそうなので、印象的なコマも切り抜いておいた。いずれ大竹伸朗のようなスクラップブックをつくる機会があったら使おうと思う。そんな機会、一生なさそうだけど。

 

そうなってくると、108円で他にもステッカーをつくりたくなってくる。俺の中でステッカー映えしそうな表紙のマンガといえば、なんといってもドラゴンボールである。ドラゴンボールステッカー、つくりたい。

 

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完全に本末が転倒しているけれど、ステッカー欲しさに100円コーナーでドラゴンボールを一冊買ってきてしまった。

 

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良い。まるで最初からステッカーになるべくあつらえたかのよう。

 

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同じように印象的なコマを切り抜いてみた。たった一冊でこれだけの量の「!!」があったのだった。バラしてみないとなかなか見えてこない事実である。

 

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手帳に1枚貼ってみた。緊張感が高まってくる。重要な締切や打ち合わせがある日のページに貼って緊張感を高めていくのが効果的な使い方ではないだろうか。いわばLINEスタンプのアナログ版である。俺も常に「明日サイヤ人が地球に攻めてくるかもしれない」という緊張感をもって業務にあたりたい。

 

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有名なヤムチャ死亡シーンである。しかしこうしてバラしてみると、サイヤ人チームの「ニヤ」がかなり印象的であった。

 

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あと新鮮な発見としては、場面転換で使われるカメハウスのコマが自分の中でかなり良かった。俺も老後はこんなとこで過ごしたい。瀬戸内海あたりに売ってませんかね。

 

…切り抜いてみてわかったことだけど、ドラゴンボール、1コマ1コマがかなり完成度が高く、その辺にペタペタ貼りたくなってくる。さすが鳥山明だ。

 

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よく家のポストに入ってる宣伝のマグネット。

 

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コマを切り抜いて両面テープでマグネットに貼り冷蔵庫に貼ってみた。

 

「わ、わかったぞ!お、おまえ、食べる気だな…!!」

 

「食べるかっ!!!」

 

夜に小腹が減るとつい冷蔵庫をあけて夜食を物色してしまいがちな自分への戒めとしたい(デブ)。

賭博黙示録リアルカイジ 第一話~出航~

ああ…それにしても金が欲しい…!

 

今でも覚えている。俺がその告知を知ったのは、麻雀ライター福地誠さんのブログ記事であった。

 

fukuchi.cocolog-nifty.com

 

なんだこれ…とうとう来やがったか…AbemaTVっ…!とても地上波では実現できない…悪魔的企画…!

 

 

億っ…億勝負…!マジかよ…カイジの鉄骨綱渡りですら2000万だぞっ…しかも命を張って…命を張ったリターンすらたったの2000万なのに、命を張らない無料の勝負で1億のリターンは破格っ…なんだこれ…ぬるすぎる…こんな落ちてる1億円の挑戦権、拾わない方がどうかしてる…!応募…応募するしかねえっ…!

 

俺はAbemaTVを運営してるサイバーエージェントの決算を見たことがある…AbemaTVの赤字が凄まじすぎて、真っ赤…!サイバーエージェントのお荷物っ…!つまりAbemaTV、いつ終了してもおかしくない…それだけに…Abemaも…賭けてきてる!莫大な製作費をかけて…一世一代の大勝負…!そしてこの企画がスベったら…もうつかむチャンスはないかもしれない…億という金を…!

 

というわけでさっそく応募することにした。まずはweb上の申し込みによる書類審査。それをパスした者が1次予選に招待される。むろんというか言うまでもなく、応募者は少ないにこしたことはない。だから…俺は…黙った…貝のように…沈黙っ…!見なかったことにした。見なかったことにして…その実、応募するっ…!俺は福地先生のように善人じゃねえ…ブクマもリツイートもしねえ…もう戦いは始まってるんだ…ただでさえ狭い門を…これ以上狭くしてどうする…?当然だっ…本気で億を掴むなら、この処置は当然…

 

書類審査は至ってシンプルだ。住所。氏名。年齢。性別。メールアドレス。そして…志望動機。そう、志望動機。審査するっていったらここ以外にないっ…。むしろ、ここで差がつく…!いかにテレビ映えする志望動機であるかが問われている…!多重債務者…!パチンカス…!ニート…!カイジの世界観を再現するなら、こういったクズ(失礼)が選ばれるだろう…それにひきかえ…俺は志望動機が弱い…定職についており、ギャンブル中毒なわけでも多重債務もあるわけでもなく…こんな奴がエスポワールにいるわけもなく…畢竟…今回の億を掴む勝負に呼ばれると思えない…

 

いやっ…望みはまだ捨てていない…

 

俺はあることに気付いた…

 

この志望動機の入力欄…

 

たった一行の入力欄だけど…

 

無いのだ…

 

字数制限が…

 

つまり…無限…!

 

この志望動機、文字数制限なく無限に書ける…!

 

ククク…これに気付いた応募者はどれだけいるか…一見して一行しかない入力欄なら、みなさらっと一言二言で志望動機を入力するだろう…しかし…しかし俺は当然…気づいている…!これはAbemaの仕掛けた罠…!ここっ…!ここに面白い志望動機を書けば…選ばれるっ…!

 

だから俺は…書いたっ…!1行の志望動機欄に…5000文字…!圧倒的狂気の沙汰…!5000文字の志望動機、その内容は…とにかく…”働きたくない”アピール…!働きたくない…!働かず…大好きなインターネットに気ままな文章を書くだけで一生暮らしたい…!1億を手にしたら…買う…!軽井沢に…別荘…!そして…二拠点生活…!東京と長野を…往復しながら生活…!これにより…得られるっ…!イケダハヤトを超えるポジション…!田舎暮らしと都会生活の良いとこどりっ…!この生活なら…可能になるっ…まだ東京で消耗してるの?と煽りつつ…返す刀で…まだ田舎で消耗してるの?と煽る…まさに…無敵…!鉄壁の布陣っ…!働きたくないっ…!俺は働きたくない…働きたくないでござる…まさに正真正銘のクズ…!俺に送らせろ…二拠点生活…!導いてくれ…Abema…!

 

そこに…リアルカイジ運営より…衝撃的な知らせが発表される…

 

 

ぐっ…そうきたか…。俺だけじゃねえ…みんな同じこと考えてるので…拡散しないのだ…リアルカイジGPの情報が…!一世一代の勝負を張ってるAbemaにしてみれば…番組情報が拡散しなければ視聴率も見込めず…こける…企画が…!ならRT上位100名を優遇し特別措置をとる…運営が唐突にこんな措置を発表してもなんら不思議じゃねえっ…!ぐっ…やられたっ…!俺も…RT上位100名を狙うか…いやっ、これ…伝えきれないっ…!俺の5000字戦略…140字に収まり切れない…!なら…やるだけ損…無駄にライバルを増やしたくない…

 

行ける…

 

俺なら、行ける…

 

俺は”理”を積み上げてきたっ…!

 

カイジの根底に流れるテーマ、それは勝負は運否天賦ではなく、理を用いれば必勝であるということ…!なによりも大事なのは…その理に気づけるか…そう、”気づき”こそが最も大事であるということ…!

 

俺は気づいたぞっ…!志望動機に字数制限がないことに…!なら…それに言及し…俺が”蛇”であることをアピールすれば…通るっ…!この書類審査っ…間違いなくっ…!頼むっ…Abema…俺を祝福しろっ…!!!!

 

(続く)

 

 

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4月15日(日)22:00よりAbemaTVにて放送の「リアルカイジGP」に筆者も参加しています。番組を盛り上げるために、俺自身の回顧録を書いていくことにしました。よろしかったらぜひ番組もご覧ください!

 

special-kaiji.abema.tv

場所取り不要の立ち飲みスタイルで花見は可能か

花見は好きだけど混雑は嫌いだ。

 

筆者は東京の下町に住んでおり、花見シーズンの名所といえばこのあたりだと上野公園か隅田公園ということになる。しかしどちらもこの時期は混んでおり、とくに上野公園は交通の便もよく都内有数の花見スポットで知られ多くの花見客が訪れる。

 

もちろん、それはとても良いことだ。しかしそこにはつねに問題がつきまとう。それは花見の場所取り問題だ。

 

特に大企業の花見だと、朝から新入社員が広大な範囲の場所を押さえ、参加者が到着するまで無駄にその場所が使えない、ということになる。その新入社員も重役のご機嫌をそこねないよう、会場の中でも最も花がよく見える絶景スポットを押さえようとする。そうなると、彼らが場所をとっている間、他の客はそこで花見ができない、というのが非常にもったいなく感じてしまう。巨大資本の人海戦術により一般客にしわ寄せする花見にはたして風雅というものがあるのか、それこそ江戸っ子に言われば「粋じゃないよね」という話である。

 

いや、彼らが花見をしたい気持ちも分かるのだ。野外で桜を眺めながら飲み食いするのは最高だし、新入社員とベテランや重役が無礼講で親睦を深める場も必要だろう。筆者が問題にしているのは場所取りだ。ならば、場所取り不要の花見を提案したい。そう、立ち飲みスタイルによる花見である。

 

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これはハイドレーションという商品だ。タンクに水を入れチューブから水を吸えるようになっている。これを背負ったりバックパックに入れておくことで、登山やマラソンをするときにハンズフリーで水分補給が可能となる代物である。

 

このタンクに酒を入れれば当然ハンズフリーで酒を飲むのが可能となる。

 

いや、これはなにも筆者のアイデアではない。この技は、筆者が富士山に登った時に一緒だった登山上級者から教えていただいたことである。この技法がどこまで一般的なのか分からないが、少なくともその方はハイドレーションにワインを入れて、登山の休憩時にハイドレーションでワインを吸っていた。筆者はそれを見てとても便利だなと思った記憶がある。

 

ならば、平地の花見でハイドレーションを使えば立ち飲みスタイルの花見酒が可能なのではないか。さっそく御徒町モンベルでハイドレーションを購入し、今年はこれで立ち飲みスタイル花見酒をしよう、と思い立った次第である。

 

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ハイドレーションもいろいろな商品があるけれど、筆者が買ったのは2Lタンクである。これならば氷結1Lなど余裕で入る。

 

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つまみはどうするか。いろいろ考えたが、立ちながら食べるには串が最も効率がよいとの結論に至った。つまり、おそ松くんに登場するチビ太スタイルである。チビ太を見よ。おでんの串をもちながら歩いたり走ったり、果てはおそ松たちとケンカまでこなしているではないか!

 

なので、串刺しにできるおかずをお弁当に詰め、適宜補充しながら串に刺して食べることにした。

 

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まずは一の重、コンビニの冷凍からあげである。

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唐揚げはコンビニでも串スタイルで提供されているので、まったく違和感がない。

 

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続いて二の重。コンビニの冷凍シュウマイである。

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これも串スタイルで提供するコンビニがある。弁当に詰める段階で事前に醤油をたらしておくといいだろう。

 

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三の重、コンビニのチルドおでんである。

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串おでん、もはや説明不要の正統チビ太スタイルである。むしろなぜ皆がおでんを串で食べないのかが不思議でならない。正統チビ太スタイルのおでん食を広めるためにも一役買いたい。

 

準備は万端である。いざ、上野公園へ!

 

 

 

 

…ところが、そこでは取材班が予想だにしなかった事態が待ち受けていた。

 

 

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散っているのである。桜が。上野の桜が完全に散っているのである。葉桜どころのレベルではない。これは…これはただの葉だ。言っておくがこの写真を撮ったのは4月1日である。例年なら普通に花見ができる時期である。なのに今年はこんな状況だ。どうして…どうしてこんな不合理なことが…俺の身にばかり…

 

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とりあえず桜の木の前で通行人にお願いし写真を撮ってもらった。そう、完全に一人で立ち飲みスタイルの花見に行ったのである。このことも、後に取材班(一人だけど)を苦しめることになる…。

 

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同じ上野公園でも日陰のほうはまだかろうじて桜の残骸が残っているのでそちらで立ち飲みスタイル花見を行うことにした。

 

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スッとでてくるハイドレーションのホース。これで桜を愛でながら酒を飲んでいるところを写真に撮ってもらうことにする。

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…ただの公園で酒を飲む不審者、といった絵ヅラになってしまった。いや、本当はこの写真の右手にちょっと桜の残骸があったのである。だからもう少し右手にパンしてもらえばちょっとは花見の風情を感じられる写真が撮れたのである。しかし…しかし…ただでさえ道行く人に頭を下げて不審者たる俺の写真を撮ってもらっているのに、これ以上の…これ以上の撮影指導は…できない…人として…

 

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唐揚げ棒を食べながら花見をしている筆者である。花見の風情は若干つたわるが、こんどは下半身が見きれており俺が他の観光客の中に埋没するような写真になってしまった。広角レンズなのでもうちょっと寄りで下からあおるようにとれば桜も俺も強調する写真になったのに…いや、人として…人として、これ以上の撮影指導はできない…

 

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最終兵器おでんである。せめてこの写真だけはキメてほしい…

 

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が、ダメっ…!右手に桜の残骸があったのでそれをバックにとってもらいたかったのだが、これだと単に路上の障害物をみながらおでんを食べてる不審者である。もっと撮影者が左に移動して撮って欲しかった。しかし…しかし…これ以上の撮影指導は…人道にもとる…!

 

 

 

というわけで、立ち飲みスタイルの花見をするにはしたが、絵的に映える写真にはならなかった。もちろん一人で立ち飲みスタイルの花見は可能である。しかし、これではブログの記事にはならない…だって…だって…写真を見る限り…俺、花見をしてませんよねこれ?

 

なので友人に協力してもらい、翌週の日曜日に一緒に花見をする約束をとりつけた。しかし4月1日の時点でこの状況なので、翌週ともなればもう桜の花見は不可能だ。なにか…なにか他の花で、花見というわけにはいかないか…この時期に咲いてる花で、花見…

 

タンポポ

 

そうだ、タンポポを見ながら花見をすればいいのではないか。なにもこれは無理筋で言ってるのではない。なぜなら、花札を見れば自明であるが、9月の菊の役札には酒の杯が描かれている。菊を愛でながら菊酒を飲む…この菊見酒もなかなか風流な行為だと言える。

 

なら…なら…菊にそっくりタンポポを眺めながら酒を飲んでも風流でしょうが!?

 

だいたい刺身の盛り合わせに載っている食用菊をみんなタンポポタンポポ言ってるじゃないか。つまりよほど詳しくない限り菊とタンポポの見分けは不可能なのだ。ならばタンポポを愛でながら菊見酒を行ってもなんら問題がない。タンポポはいわばジェネリック菊見酒なのだ。

 

さっそく取材班は次の日曜日にタンポポを見に行くことにした。

 

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前回ハイドレーションにチューハイを入れていったが、炭酸でタンクがパンパンになって負荷がかかる、という学びを得たので、今回はコンビニの安ワインを入れることにした。こうやって場数を踏むことによりハイドレーション酒飲みのノウハウが蓄積されていく。

 

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やってきたのは荒川河川敷である。

 

 

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タンポポだ。

 

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酒を飲みながら、愛でる。

 

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荒川だ。

 

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酒を飲みながら、愛でる。

 

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タンポポの群生地だ。

 

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酒を飲みながら、愛でる。

 

というか、こんだけ人がいないのなら、そもそもタンポポ花見ではわざわざ立ち飲みスタイルで臨む必要はなかった、というのが取材班の出した結論である。ちょう穴場スポットなので桜の花見に疲れた人は河川敷でタンポポ花見をやろう。

 

以上です。

崎陽軒のシウマイ弁当プロ志望届

俺が小学生中学生のころ、つまりかれこれ20年以上前のはなしであるが、当時はTVゲームが大好きだったので、一生ゲームばかりやって生きていけないかな…なんてことを漠然と思っていた。もちろん当時は「TVゲームのプロ」という概念は無かった。いや、高橋名人や橋本名人などはいたけれど、彼らは言ってしまえばメーカーに所属する広報であり、ゴルフで例えるならゴルフクラブメーカーの広報が名人を名乗ってはいるけれど、純粋にゴルフだけで生活してるプロプレーヤーは当時存在していなかった。というよりも、純粋にゲームだけで生活できるプロが職業として成立する、なんて当時は想像できなかったはずだ。

 

ところがどうだ。現在はEスポーツの隆盛で、ゲームのプレイだけで生活しているゲームのプロなんていう人がざらにいるではないか。

 

いや、ゲームのプロだけではない。レゴの組み立てだけで生計を立てるプロ、プラレールの組み立てだけで生計を立てるプロ…。自分が小さい頃は想像もつかなかった専業プロがここ数年で誕生している。良い世の中になったと思う。

 

そして、弁当の食べ方についても同じことが言える。つまり、弁当の食べ方なんてもので収入を得るプロが、この世にはいるのである!考えられただろうか?この状況を!!

 

弁当の食べ方のプロ第一号は誰か?俺の認識では、泉昌之の「夜行」というマンガ作品がプロ第一号である。泉昌之は原作・久住昌之、作画・泉晴紀、によるマンガユニットであり、夜行はそのデビュー作でもある。夜行は「かっこいいスキヤキ」という単行本に収録されている。

 

かっこいいスキヤキ (扶桑社文庫)

 

「夜行」の内容を説明すると、夜行列車にのったおっさんが幕の内弁当を食べる話、ただそれだけである。ただそれだけであるが、これが読んでみると抱腹絶倒なほど面白いのだ。信じられるか?弁当の食べ方、ただそれで人を笑わすことができるだなんて!それまでのマンガの物語といえば、ヒーローが世界を救う、とか、不思議なキャラクターとともに過ごす日常生活、みたいなのが王道だったのだ。それがどうだ。「夜行」は普通のおっさんが弁当を食べているだけである。地味だ。しかしそんな地味なおっさんが弁当の食べ方で苦悩する、ただそれだけでエンターテイメントになりうるんだという発見。仮に「世界三大その手があったか」というものがあるとしたら、コロンブスの卵に並んで余裕でランクインするぐらい画期的な発見がこの夜行という作品である。

 

夜行の登場により、弁当の食べ方というものがエンターテイメントになりうることが証明された。そして、例えるなら野茂英雄の後を追って日本人メジャーリーガーが次々誕生したように、弁当の食べ方という芸もいたるところで見かけるようになった。いわばプロも増えつつあるということだ。みなそれぞれの芸を競い合い、立派にエンターテイメントとして成立している。そういう時代である。

 

そして今も弁当の食べ方でプロ・素人いりみだれて喧々諤々の議論が盛り上がってる界隈があるのである。とはいってもその議論が盛り上がるためには(1)その弁当が抜群の知名度をほこり(2)なおかつ品目がバラエティゆたかで食べ方を検討する価値が大いにある(3)なによりその弁当が愛されているので議論してる奴らみな”ガチ勢”である、という三要件を満たす必要がある。もうお分かりかと思うが、その弁当とは崎陽軒シウマイ弁当である。

 

ためしに「シウマイ弁当 食べ方」でぐぐってみるといい。出るわ出るわ、シウマイ弁当食べ方芸の山!

 

おわかりいただけただろうか。もはやシウマイ弁当の食べ方は、進撃の巨人黒子のバスケに比肩しうるコミケの一ジャンルになっているという事実に…。

 

 シウマイ弁当に持ち込みのふりかけを使用する、という奇襲作戦。つまりそれほど議論が進みすぎ、シウマイ弁当の食べ方界隈も正直かなり”煮詰まってる”んだ、と思っていただきたい。

 

ところでかくいう自分も横浜生まれ横浜育ち、当然のようにシウマイ弁当を愛し育ったのでシウマイ弁当に一家言ないはずがない。つまりある。めっちゃある。シウマイ弁当について語りたいことが山ほどある。とはいえ俺は素人だ。それでもいい。素人でもシウマイ弁当を語っていい。しかし…しかし…俺はシウマイ弁当のプロになりたいんだっ…!

 

 

 

 

 

前置きが長くなってしまったが、要するに本エントリは崎陽軒シウマイ弁当のプロを目指すべく書かれた文章である。つまり崎陽軒シウマイ弁当プロ志望届シウマイ弁当の食べ方を語るだけで生活するのが俺の最終目標です、よろしくお願いします。

 

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シウマイ弁当スーパードライ350mlである。家でも新幹線でも同じ食べ方ができるよう、今回はこの組み合わせでいこうと思う。

 

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開封の儀です。

 

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あら、おいしそう。いいですね。右も左もいいですね。どれから箸をつけようか迷っちゃいます。…と言いたいところだけど、俺に言わせれば甘い。なにか忘れてませんか?

 

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そう、弁当のフタにこびりついた米つぶ…!シウマイ弁当の食べ方を議論するなら、まずはシウマイ弁当のフタ問題から議論を出発する必要がありませんか?これはカップアイスのふたにこびりついたアイスクリームを舐めるのかスルーするのか問題と全く一緒である。なぜなら、シウマイ弁当は間違いなくフタに米つぶがひっついてしまう構造上の問題をかかえているからだ。もち米にも似た粘着力の高さに、静止摩擦係数の高そうな木のフタ。つまり、このくっつきは必然であり宿命。ここをどうするかの議論は避けて通れない。食べるべきなのか。それとも、そんなはしたない真似はできないので見てみぬふりをするのか…?あなたならどうする?

 

ではここで正解の発表です。

 

正解は、ふたについた米も当然食べる、です。しかも箸をつかわずに直接フタをなめるようにして米つぶを食べるのが正しい作法である、と筆者は力強く断言します。

 

え?下品だ?はっ、そういうことを言い出す奴は物事の本質をなにもわかっちゃいない。そんなことを言い出したら、蕎麦やラーメンをすすって食べるのは下品だし、お茶碗のような食器に口をつけて食事をするのは下品なのだ。でも、日本の文化は、麺をすすって食べ、食器に口をつけて食べるのは美徳だ、という文化である。なぜか。日本はすべての物事に対して五感をフル回転して楽しむ文化であるからだ。先の例でいうならば、麺類を食べるとは味覚や嗅覚だけでなくすする音、つまり聴覚でも楽しんでいるし、食器は視覚や手の触覚だけでなく、口の触覚でも楽しむ、というわけだ。つまり、海外では多くの地域で不作法とされるものが、日本では正しい作法とされる。

 

なら…なら…フタを舐めて米つぶを食べるのも立派な作法でしょうが??

 

みろ、シウマイ弁当のフタを!木を薄く削ってつくられた、経木折のフタだ。今時ないぜ、こんな弁当。今半の弁当だって発泡トレーだっつうのに、崎陽軒シウマイ弁当は昔と変わらぬ経木折…せっかくのこの木の香りを体感せずしてどうする?そう、みなも実際にこそいで食べてみるがいい…鼻腔に広がる木の香り…森の香り…そして噛みしめる米つぶ…まるでピクニックで行った山の上で弁当を食べているかのような爽快感すら感じる…。最高なのでは?

 

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ごはんのつぶ、完食!美味しかった…。これを下品の一言で切り捨てる奴は人生の楽しみ方を分かってない。ここは問答無用で「舐めるようにフタについた米つぶを食べる」を10点にします。フタの米つぶを箸で食べたら?んー、間違いじゃないけど7点しかあげられないな。うん。後で挽回しようね。

 

本来ならここで本稿を切り上げてもいい。それぐらい崎陽軒のフタ問題はクリティカルな指摘だったと言える。しかし、俺はプロなので、プロ志望なので、最後まで魅せる食べ方をしていきたいと思います。ご期待ください。

 

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改めて状況を報告したい。白米8個師団を筆頭に、シウマイ5個師団、から揚げ、玉子焼き、かまぼこ、焼き魚、筍煮、杏子煮、昆布に紅ショウガ、小梅、というおなじみのラインナップである。どう攻めるか。

 

まずは作戦の大枠、グランドデザインを決めていきたい。つまり、杏子をどのように考えるか、ということである。

 

ご存知無い方の方に説明しておくと、シウマイ弁当の食べ方にはざっくり分けて大きく2つの考え方がある。杏子を一番最初に食べて「杏子を無かったことにする」という考え方と、杏子を一番最後に食べて「杏子は食後のデザートである」という考え方である。

 

最新の学説によると、「杏子はデザートではない」という考え方が主流である。将棋の戦法と同じで、杏子をどうとらえるかにも流行り廃りというものがあるのだ。最近は杏子を最初に食べるという流派が主流なんである。しかし、筆者は昔かたぎの男なので、かつて正統と言われた杏子デザート説、つまり杏子フィニッシュをキメたい。これは将棋の羽生さんと一緒で、俺はプロなので、プロ志望なので、杏子を先に食べる書き方もできるし、杏子フィニッシュに持っていく書き方もできる、つまり得意の戦法などなくすべてに対応できる自在型なのである。なので、あえて難しい方、つまり杏子フィニッシュルートを選択していきたい。

 

まず食後のデザートは決まった。あとは、作戦の方針である。やはりここはビールがあるので、ビールの肴としてシウマイ弁当のおかずをつまみ、次に米とおかずを食べ、そしてデザートをキメる、という流れで行きたい。奇をてらわず、あくまで正攻法で臨みたいと思う。

 

作戦の大枠は決めたので、今度は作戦の細部をきめていきたい。

 

よくあるパターンなのが、最初にビールの肴としておかずを消費しすぎて、後から白米のおかずが足りなくて泣きを見るパターンである。シウマイ弁当あるあるの筆頭といってもいいかもしれない。

 

今回それは避ける。避けていくために、あらかじめ兵力と火力に応じた作戦担当正面というのを決めていきたいと思う。

 

敵は白米8個師団である。これをどうやっつけていくか。ここで兵力の火力を確認しておきたい。火力とはなにか?つまりそのおかず一つでいくつの白米を屠れるのか、という指標である。たとえばシウマイ。シウマイ1個にたいして白米がいくついけるのか、いわばどれだけごはんがススム君なのか、ごはんの推進力はどのくらいか、ということである。筆者の個人的感覚であれば、シウマイ1個にたいし白米1killである。しかし焼き魚はどうか。焼き魚はかなりの殺傷力を誇っている。筆者の感覚で言わせてもらうと、焼き魚は3killである。つまり焼き魚1で白米3個師団にあたらせても十分に応戦できる。

 

このように、あらかじめ兵力と火力に応じ白米8個師団に対しおかず軍団をどう当たらせたらよいかを事前に決めておいたのが次の図である。

 

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作戦を説明する。白米8個師団に当たらせるのは、小梅(1kill)こんぶ(2kill)シウマイ2個師団(2kill)そして焼き魚(3kill)である。

 

となると、残りの兵力でスーパードライ350mlを担当する、ということになる。

 

めっちゃ分かりやすくないですかこれ?

 

まるで、赤壁の戦いのときに張飛趙雲関羽を先の先の先まで見越して伏兵として配置した諸葛孔明のようなエレガントな采配である。これで白米にあたらせるおかずが足りなくなるという後顧の憂いは完全に断った。あとは全兵力をビールに当たらせるだけである。

 

では実際にビールとおかずを食べていきたい。

 

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だいたいにおいて、まずは玉子焼きやかまぼこから食べるのが常套手段である。筆者もそれに異存はない。ちなみに筆者の個人的感覚だと玉子焼きとかまぼこは0.5killすらあやしい。醤油をかけてようやくギリ1killかな、ぐらいの感覚である。しかしビールのお供してはひじょうに具合がよい。まずとりあえず空腹を満たしてからのビール…という感じであり、いわばシウマイ弁当におけるお通し、つきだし、といった風情が玉子焼きとかまぼこにはある。

 

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ちなみに筆者の中での紅ショウガの位置づけはあくまで薬味である。たとえばから揚げにちょっと紅ショウガを載せて食べると油っぽさがなくなり美味しい…ということになる。いわば遊軍、補助火力である、というふうに考えたい。

 

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いやービールとシウマイ弁当、最高だな~

 

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みよ。ビールを飲みほした時点での戦況である。まさに計画通り。圧倒的ではないか、わが軍は。

 

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なんかすげえ食べにくそうな順番で食べてますけど、これ皆さんに担当正面を分かりやすく説明するために白米の上に載せてるだけであって、だからシウマイごはん→こんぶごはん→焼き魚ごはん→…のように食べるとこのような歯抜け状態になってしまうのである。ふだんの俺はこの作戦図を脳内に展開してますから、傍目には普通に食べてますからね俺…

 

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焼き魚を3口に分けて食べたが、最後の一口は紅ショウガを載せて食べる…。このようにプロ野球のピッチングよろしく緩急をつけるのが大事である。

 

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予定どおりの兵力をもって白米8個師団、消滅である。ということは…ということは…おおお、ついにきてしまうのかーッ!?

 

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決まったーッ!杏子フィニッシュ、見事に決まった!

 

どうですか。これがロジカルなシウマイ弁当の食べ方というものである。皆さんも参考にしてほしい。どうか素敵なシウマイ弁当ライフを!

 

以上です。