風の谷の竹筒朝顔と蟲たちの大海嘯

 

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「こっちだーッ!」「ああっ、この葉も蟲に喰われている…なんてこった…」「大ババ様…!」「ぜんぶ燃やすしかないよ…!!この森はもう終わりじゃ…!!」

 

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ベランダ園芸の大敵、それはハダニである。ベランダのような気温が高く乾燥した環境を好み、葉の裏に寄生し植物の栄養を奪う。小さすぎて1匹の時点で探すのは至難の業だ。群れた時点でようやく気付くが、そとのきにはすでに大量繁殖しすぎて手遅れの状態である。ハダニにやられた葉は切除し被害を最小限度に食い止めるしかない。厄介な蟲である。被害を予防するには葉の裏側にもマメに霧吹きをかけるか薬剤散布するのが有効だが、それでも完全に根絶するのは難しい。いや、このベランダで生きていこうとするなら、このハダニとも付き合っていかねばならぬのだ、それがベランダ園芸の宿命(さだめ)なのだからね…!

 

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例年だと毎年この時期はハダニにベランダ鉢植の半分以上はやられるといった被害状況であったが、今年の夏は比較的涼しく、また適宜薬剤の散布も行っていたためかほとんどハダニの被害は受けなかった。少しはベランダ園芸家としての技量があがったのかもしれない。おかげで朝顔も立派に咲いた(当社比)。

 

 

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昨年収穫した種を竹筒に植え発芽したときの写真である。用土には前回の都市腐葉土を使用している。本当は別の所に植えて、ある程度育った段階で植えかえるのが一番よいのだそうだ。入谷の朝顔市の植木屋から教わったので間違いない。去年そういう朝顔教室があったので参加したのだった。植えかえることで刺激を与え発育が促進されるとのことだ。

 

ちなみに入谷の朝顔市の植木屋が使ってるのはサカタのタネの”暁シリーズ”である。

 

www.sakataseed.co.jp

 

しかし入谷の朝顔市ではプラッチックの鉢と行燈をつかってるので、ここから先は教室で得た知識を頼らずに自然素材で手作り行燈をつくっていきたい。

 

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まず檜の薄いヒモのような木材を熱して曲げていく。これはハンズに売っている。

 

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丸くなった。

 

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ハリガネで固定する。

 

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縦方向には強度のある竹を使用する。そして先ほど作った檜の輪っかを針金で固定していく。見た目に美しくないので余分なハリガネは切り落とす。

 

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これをくりかえしていけば完成である。

 

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…しかし檜を曲げるのすげー大変なので、最初の1個だけでギブアップし、あとは全部ハリガネで輪っかをつくったのだった。これだったら市販の行燈でいいじゃん、と思うかもしれないが、市販の行燈だと竹筒サイズのやつは当然売ってないのだ…

 

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ちなみにうちの朝顔、数年前に理研の一般公開でもらった朝顔の種と去年入谷の朝顔教室で植木屋からもらったサカタの暁シリーズとの交配種である。なにかの縁でもらったり拾ったりした種を繋いでいく、という精神は、いとうせいこうの「ボタニカルライフ」の影響を色濃く受けている。

 

ボタニカル・ライフ―植物生活 (新潮文庫)

 

もう俺の手元にないので記憶だけだけど、このエッセイ、たしか交差点で拾ったアロエの葉を家に持ち帰りベランダでなんとか育てようとするところからはじまるんだよな…。最高にハードボイルドである。そう、ベランダ園芸とはハードボイルドなのだ。

 

今朝も毎日の日課、すなわち朝顔の余分な脇芽と枯れた花をこまめに摘むという作業をこなしてた。何の罪もない脇芽と花を殺したのだ。所詮は血塗られた道…(ハダニでいっぱいの葉っぱをゴミ箱に捨てながら)

 

つづく