うなぎモヒートとマスクメロンサイダージンの作り方(ジンをご当地サイダーで割って飲む選手権・完全版)

 

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ご当地サイダーの話の続きです。

 

前回「速報版」とわざわざタイトルにつけたのは理由があって、まだ続きがあるからなんですね。本日のエントリを含めて「完全版」になります。

 

前回「どうしてもジンにあわないご当地サイダーがある」と書きました。例えばこのサイダー、皆さんはどう思われますか。

 

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静岡のうなぎコーラです。どう思われますか。

 

え?どこからどうみても地雷だろ、って?

 

なるほどおっしゃることはよく分かります。しかし俺に言わせれば地雷でも何でもありません。なぜなら地雷とは本来、皆が気付かないところに殺傷能力のある爆発物をしかけ罠にはめているから地雷なのであって、こうして目に見える危険物は地雷でもなんでもありません。強いて言うのなら、こういうのはピーキー過ぎる飲み物”と呼称すべきです。

 

うなぎコーラがマズそう、だって?ピーキーすぎてお前にゃ無理だよ!

 

俺に言わせればこういうピーキーなセッティングの飲み物を乗りこなしてこそ真の上級者と言えます。では行きましょう、うなぎコーラを美味しく飲むレシピ…うなぎモヒートの作り方です!

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モヒートは皆さんご存知でしょうか。ラム酒に潰したミントとソーダを入れライムを絞ってつくるさっぱりとしたカクテルです。今回はうなぎコーラを使用しますので、ハーブも和の食材を使います。ミントの代わりにシソ、そしてうなぎなので山椒の粒を入れます。

 

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ラム酒を加え、すりこぎで潰します。

 

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山椒とシソを網で濾します。無色だったラムがすでに山椒とシソのエキスで色づいてるのが分かりますね。

 

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ライムの代わりにすだち(カボスでも良いと思います)を絞り、うなぎコーラを適量そそいで完成です。これがうなぎモヒートです。どうですか。ピーキー過ぎた飲み物が、ひと手間加えるだけでちょっと飲んでみたいと思わせるカクテルに変貌してると思いませんか。

 

もう一つ上級者っぽいレシピいきます。静岡のマスクメロンサイダーです。

 

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これ、普通にジンの割り材で使うと甘すぎてしまうサイダーなんですよ。なので別の趣向でいきます。むしろ甘さを生かしメロンソーダのイメージでカクテルにした方がいいと思いました。

 

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メロンソーダといえばさくらんぼ(マラスキーノチェリー)ですが、筆者はもともと種を出さなきゃいけないのが野暮だと思っていたので、ここはさくらんぼのかわりに種無しのシャインマスカットを使いたいと思います。緑のメロンソーダに赤いさくらんぼだと補色なので映えますが、緑のメロンサイダーに黄緑のマスカットという組み合わせも同系色でまた乙なものだと思います。

 

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ここにジン60ml、マスクメロンサイダーを適量加えて完成…でもいいのですが、さらにひと手間加えます。

 

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まさか?

 

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そう、そのまさかです。アイスクリームを浮かべて完成です。これが必殺のカクテル、メロンサイダーフロートジンです。ジントニックとかと比べると甘すぎるとなったマスクメロンサイダージンも、メロンソーダフロートのていにして飲んでみると、甘さ控えめのビターテイストに感じるから不思議です。錯視効果でしょうか。

 

で、酒の話になるとちょっと詳しい連中が「ミドリ(メロンのリキュール)で似たようなカクテルつくったことあるわw」ってマウンティングしてくるかもしれないので先に制しておくと、ミドリでつくるメロンソーダフロートジンと俺のレシピには決定的に違うものがあります。ミドリを使ったレシピにはなくて俺のレシピにはあるもの。なんだと思いますか?

 

それは文脈です。

 

まず、マスクメロンサイダー自体、ハウス栽培でメロンづくりが盛んな静岡のご当地サイダーなんですよね。そしてシャインマスカットは山梨産なんですよ。

 

つまり、富士山をめぐって「どちらが表富士なのか」で常にバトルを繰り広げてる静岡と山梨が奇跡的に手を取り合って、このグラスの中でコラボが生まれてるわけなんですよ!

 

そう聞かされて飲んだらちょっと感動的だと思いませんか。

 

や、人って必ずしも嗅覚と味覚だけで食べ物を味わってるわけじゃないと思うんですよね。

 

例えばですね、同じワインを飲んでたとしても、「コンビニで買った480円のワインだよ」と聞かされて飲んだワインと、「今日という日を祝おうと思って買っておいた、あなたが生まれた年のワインだよ」と聞かされて飲んだワイン、どっちがより美味しく感じると思いますか。

 

美味しんぼの京極さんが生まれ故郷の四万十川の鮎を食べて「なんちゅうもんを食わせてくれたんや…」と感動し落涙するのと同じで、そこには京極さんの琴線に触れる文脈というものがあります。バーとカクテルが主題のマンガ「バーテンダー」も、あの長い物語を一言で要約すると、「全ては文脈ゲーム」ということになります。うなぎコーラにシソと山椒とすだちを合わすのだって文脈ゲームにのっとってます。うなぎには山椒だし、ライムよりすだちだし、ミントよりシソだからです。

 

筆者は「世の中に汚い色などというものは存在しない」と考えます。色の使い方しだいで美しく感じたり汚く感じたりしてるだけにすぎません。酒もそうですし、飲み物もそうです。全ては使い方次第で、ピーキーな酒や飲み物を上手なレシピで美味しくするのはひとつの醍醐味だと言えます。そもそも、カクテルが発達した経緯だって、禁酒法時代のまずい酒をちょっとでも美味しく飲むための工夫だったのですから…。

 

家畜などの人間の生活に有用な生物だけでは生態系はなりたちません。ときには人間に害を為す生き物ですら、生物の多様性を担保するために必要です。いっけん地雷に見えるご当地サイダーにも同じことが言えると思います。ピーキーなご当地サイダーをこよなく愛することこそ酒の多様性につながり、それが酒文化の発展にも寄与すると考えます。

 

ご当地サイダーを使ったカクテル、まだまだ広大なブルーオーシャンが広がっておりますので、試行錯誤しながら飲み方を探求するのも楽しいのではないでしょうか。

 

以上です。

 

 

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