家飲みウィスキー党の極北こと自家製ブレンデッドウィスキーはブレンド工程がすごい楽しいので皆も一度やってみて!

このブログで何度か言及してますが、俺はウィスキー大好きで、大のニッカ党であります。

 

その愛が溢れすぎてしまい、今回は自宅でオリジナルのブレンデッドウィスキーをつくってしまいました。何を言ってるか分からないと思うので、順を追って説明します。

 

”ニッカブレンダーズバー”という店があるのはご存知でしょうか。南青山のニッカ本社ビルのB1Fにあるバーです。俺は念願かなって昨年この店に行ってきました。そこで感動したのが、ニッカのブレンダーさん特製の、”ブレンダーズバーでしか飲めない”ブレンデッドウィスキーがたくさんあることなんですよね。

 

皆さんご存知かとは思いますが、何年も樽熟成を要するウィスキーは樽ごとに味や香りに偏りが出てしまい、均一につくることはできません。そこで、”ブレンダー”という人が様々な個性的な味のウィスキーをブレンドし一定の味に仕立ててるわけですね。この作業では違う蒸留所のものを混ぜたり熟成年数が異なるものを混ぜたりもします。逆に言えば、ニッカのウィスキーの味を決定づけるのはブレンダーさんであり、それだけ重要なポジションの人であるということになります。

 

山﨑蒸留所で聞いた話ですが、サントリーのあるブレンダーさんは昼飯を毎日同じ店の天ぷらうどんしか食べないそうです。違うものを食べてしまうと味覚が微妙に狂ってしまうから、とのことでした。人間がひとつの味を決定づけるって、それだけ繊細な作業なんですね…。

 

そんな”ニッカの味を決定づける”ブレンダーさんが”特別に”仕立ててくれたブレンデッドウィスキーを”世界で唯一”飲める店が南青山のニッカブレンダーズバーということになります。ブレンダーズバーのヤバさが伝わっておりますでしょうか。

 

このニッカブレンダーズバーのヤバいメニュー見てください。

 

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担当ブレンダーおよびブレンドのレシピを公開してます。こんなのが10種類以上もあります。そして味や香りの表現として綴られる記述…もはや貧乏舌の俺には理解の範疇をこえてポエムにしか見れません。そう、これは詩です。暗いバーの片隅で、美味いウィスキーを味わいながら、神の舌の持ち主たちの詩を楽しむ…これ最高に贅沢じゃないですか?

 

ここでキーモルトとして使われている「余市sherry&sweet」とか「余市peaty&salty」って何なの?って思うかもしれません。これはニッカの余市蒸留所や宮城峡蒸留所でしか売ってない限定酒です。マジで蒸留所以外では売ってません。ぐぐると酒屋が通販で売ってたりしてますが蒸留所で6000円くらいで手に入るものがとんでもないプレミアついており、試しに今調べたら余市sherry&sweetが500mlで19,524円の値がついてます。狂ってます。なので欲しい方は蒸留所に行って買ってください。これらを買うためのだけに余市や宮城峡へ行く価値があるといっても過言ではありません。

 

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ちなみに限定のキーモルトだけの飲み比べもできます。これ新千歳空港のバーで飲むとワンショット1600円ですが、ブレンダーズバーの飲み比べだと6杯4000円です。破格です。もうこれだけのためにブレンダーズバー行ってもいい…といいたいとこですが、これらは余市や宮城峡に行けば飲めますが、ニッカの名だたるブレンダーたちが限定キーモルトを使って特別につくったブレンデッドウィスキーを飲めるのは(くどいようですが)世界でここだけですんで、やっぱりブレンデッドウィスキーを楽しんでください。

 

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ブレンダー一人一人のプロフィールもメニューに載ってます。これメニューですよね?この居並ぶレジェンド感…

 

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メニューの1ページを使用してでかでかと書かれる竹鶴リリック。最高。

 

といった具合でニッカブレンダーズバーはオンリーワンの体験ができる店ですので皆さまぜひ一度訪れてください。

 

…ここでこの記事を終えてもいいのですが、本日の本題はここからです。

 

つまり、俺もブレンドがしたい、と。俺もブレンダーズバーのような世界で一つだけのブレンデッドウィスキーをつくりたい、と。

 

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というわけで、プレミアつきまくってる限定酒たちを惜しげもなく使ってブレンドし、俺の俺による俺のためのウィスキーをつくります。この背徳感、やばいですね。人間である俺ごときが神の舌の持ち主ことブレンダーの真似事をする…これが創世記ならば確実に神々の怒りをかい雷に打たれているところです。これ以上の贅沢はあるのでしょうか。いやない(反語

 

ブレンダーズバーのメニューを見てるとまず最初に皆さんテーマを決めているようなので、俺も最初にテーマを決めます。

 

テーマは、「調和」です。

 

個人的にはアイラモルトのような極端な香りのウィスキーが好きなのですが、今回はブレンデッドウィスキーをつくるということなので、ピーキーな限定酒たちを”俺のレシピで”調和させ、万人が飲んで美味しいと思えるようなベストバランスを目指します。

 

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という趣旨なので、メインで使うのはシングルカスクにします。シングルカスクとは、樽から出しただけで何もブレンドしてない状態のウィスキー、ということになります。アルコール度数57度。ヤバいですね。荒っぽく、ピーキーです。この暴れ馬を、俺のブレンドで調和させていきます。とりあえずダブルの2杯分、120mlを注ぎました。

 

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シングルカスクはかなり強烈なウィスキーなので、中和させるために甘いwoody & vanillic を20ml使います。甘いといってもこれも度数55°もありますけども。

 

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さて、ここから味を調えていきます。ブレンダーさんたちのレシピをざっとみますと、カフェグレーンウィスキーをだいたい30%~50%ぐらい使ってるようなので、俺もその基本を押さえていきます。宮城峡蒸留所ご自慢のシングルカフェグレーン12年woody & mellowを100ml。

 

ちなみにカフェとは以前も説明しましたがニッカの宮城峡蒸留所がほこるカフェ式蒸留器のことです。

 

 

www.mizuhebi.com

 

 

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最後に隠し味としてpeaty & saltyを10mlほど混ぜました。

 

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ここで一旦味見で5mlほどいただきます。

 

…強い!そもそも無調整のシングルカスクは度数が高い強烈なウィスキーなので、この程度ではその強烈さを調和させることはできませんでした。無論俺はこの味も好きですが、これが万人受けする味かというと…。

 

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比較の対象としてフロムザバレル51度のストレートと飲み比べてみます。こっちは同じような樽出しのシングルカスクをブレンダーさんがブレンドした上でもう一度熟成させてる代物で、つまりブレンダーさんと俺との直接対決となります。

 

…このフロムザバレルが笑っちゃうほど美味しくて参った。同じようなピーキー過ぎる原酒を使っても見事な調和ぶりで、さすがプロは違うわという感じ。

 

いや、でもこれアルコール度数が違うので、加水したら俺のブレンデッドウィスキーもまろやかな味になるのでは…

 

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加水したらフロムザバレルはさらに美味しくなりましたが、俺のブレンデッドウィスキー、刺激物なのかな?っていうぐらいの荒々しさ。加水してこれだよ?なにか根本的に俺は間違っているのでは…

 

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ちょっと収拾がつかなくなってきたので俺のブレンデッドウィスキーはいったん空き瓶に移します。これを1号原酒と名付けます。

 

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その1号原酒を120ml使用するところからスタートします。ボールはまだ生きている。

 

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まろやかさが足りない、ということでwoody & vanillicとカフェグレーン12年をそれぞれ30ml足しました。

 

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今度はどうか?

 

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やばい…俺のブレンデッドウィスキー、完全にフロムザバレルの領域なんですけど…。手探り2回目のブレンドでこの領域に行ってしまってもいいの?っていう…

 

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ほぼトワイスアップまで加水しました。やばい。断言してもいいけど、100人にブラインドでフロムザバレルと飲み比べさせたら半分ぐらいの人が俺のブレンデッドウィスキーのが美味いって言うわ。

 

なんていうんでしょう。やっぱほのかに薫るバニラの匂いって高級感あるっていうか、とってもリッチな味に感じるんですね。ぶち猫さんがスナックやる暁にはブラインドで竹鶴と飲み比べさせて俺のブレンデッドウィスキーのが美味しいと言わせますのでよろしくお願いします。

 

最後にレシピを公開しましょう。

 

1号原酒はシングルカスク48%カフェグレーン40%、woody & vanillic 8%、peaty & salty 4%で、その1号原酒を66%使用して17%ずつwoody & vanillicとカフェグレーンを足してますので、最終的なレシピは以下の通りです。

 

カフェグレーン12年 43%

シングルカスク 32%

woody & vanillic 22%

peaty & salty 3%

 

まあこんなの再現性ないのでレシピ公開したってしょうがないかもしれませんが、何が言いたいのかというと、自宅でオリジナルブレンデッドウィスキーを作るのはとても楽しいということです。

 

みなさまもぜひニッカの蒸留所で限定ウィスキー買いまくって自家製ブレンデッドウィスキーをお楽しみください!